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生活習慣も影響!遺伝子の使われ方が変わる「エピゲノム」とは?生命科学の注目ワードを博士が解説!

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ダイエットを頑張っているけど、効果が出にくいとお困りの方へ

       

年齢とともにお腹、太もも、ヒップなどによく見られる肌表面の「凸凹」。これは、血行やめぐりの滞りなどが原因でできる脂肪と老廃物の固まりです。

食事・運動のダイエットだけでなく、美容面でも凸凹ケアをしましょう!肌触りの凸凹が和らぎ、後ろ姿も好印象に!

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監修者

慶應義塾大学 予防医療センター 特任教授 慶應義塾大学 名誉教授 医学博士

伊藤 裕

京都大学医学部卒業 京都大学院医学研究科博士課程終了
ハーバード大学医学部博士研究員
京都大学大学院医学研究科助教授
慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科 教授を経て現職。

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あの頃はこんな無謀な生活をしてたっけ……という「若気の至り」に心当たりがありませんか?若いからといって無茶な生活習慣を続けているのは非常に危険です!!!

実は、遺伝子や臓器は体内の悪い状態もメモリー(記憶)しているので、年齢を重ねてから改善しても、健康状態がもとに戻らない可能性があるそうです。

そこで今回は慶應義塾大学 名誉教授であり医学博士の伊藤裕教授に、生命科学のメカニズムにおいて欠かせない「エピゲノム」について分かりやすく解説していただきました。

もちろん、若気の至りをリセットする治療研究からわかった情報も合わせてご紹介しますので、ぜひ最後までチェックしてくださいね。

この記事でわかること

生命科学におけるエピゲノムってどんなもの?
エピゲノムで考える「若気の至り」がもたらすコト
医療分野でも注目されているエピゲノム

エピゲノムとは?

生命科学を知る上で、エピゲノムは欠かせないキーワードです。少し難しく感じられるかもしれませんが、きちんと理解することで健康に対する意識が変わります。

DNAに科学的な修飾が入ることで遺伝子の使われ方が変わる

エピゲノムとは、遺伝子のゲノム情報を高度に活用するための仕組みです。

遺伝子が使われるとき、らせん状に絡み合う2本のDNAが1本ずつにほどけます。二本鎖のDNAがほどける過程で、遺伝子がコピーされたり、タンパク質ができたりするわけですが、その「ほどけ方」を決めているのがエピゲノムです。

どうして二本鎖になっているDNAの「ほどけ方」が決まるのかというと、ゲノムDNAさまざまな化学修飾(メチル化やアセチル化)が起こるから。さらに、2本のDNAを1つに束ねているヒストン様タンパクという糸のようなものに化学的修飾が起こり、目印のようなものがつくことで、二本鎖になっているDNAの「ほどけ方」が決まるわけです。

このような化学的な修飾が入ることで、2本のDNAの解け方が変わり、遺伝子の使われ方が変わります。このような遺伝子の仕組みがエピゲノムの概要です。

遺伝子について詳しく知りたい方はこちら

遺伝子や臓器はエピゲノムの変化を記憶する

例えば、血圧上昇や血糖上昇など、細胞に刺激が入るとエピゲノムの機構が作動して遺伝子の働きが変わります。

ところが、その後治療して血圧や血糖がもとに戻ったとしても、エピゲノムによる遺伝子の変化はしばらく続きます。これがいわゆる、遺伝子や臓器の記憶のメカニズムです。

エピゲノムで考える「若気の至り」!生活習慣の乱れは取り戻せない!?

エピゲノムの仕組みを考えると、健康に良いことをすれば良い影響が残るし、健康に悪いことをしていたら悪い影響が残ると考えられます。

では、若いときの不摂生、いわゆる「若気の至り」は取り戻せないのでしょうか?

塩分の摂りすぎはもとに戻りにくい

日常的に塩分を摂りすぎて血圧が上がると、元に戻りにくい可能性が高くなります。

赤ちゃんを対象にした「塩分メモリー」の実験

2人の赤ちゃんを対象に、異なるミルクを与えた研究があります。

一方には塩分の少ないミルクを、もう一方には塩分が入ったミルクを与えたそうです。半年間ミルクを与えたあとに血圧を測ってみると、塩分が少ないミルクを飲んでいた赤ちゃんは血圧が低くなっていました。

さらに10年後、このとき研究対象とされた子ども2人の血圧を再度計測すると、塩分が少ないミルクを飲んでいた子供の方が、血圧が低かったのです。

この研究は非常に数が少なく、本当にうまくコントロールされていたかどうかはわかりません。しかし動物実験で再現すると同様の結果が得られ、さらに普通の食事に戻しても血圧は戻りませんでした。

塩分の摂取量は記憶されると考えられ、これを「塩分メモリー(ソルトメモリー)」といいます。「若気の至り」で塩分を摂りすぎ、一旦上がってしまった血圧は、なかなか元に戻らないと考えられるそうです。

糖質の摂りすぎも記憶される

甘いものが好きな方も要注意。糖質の摂りすぎも記録されてしまい、将来の健康状態に影響する可能性があります。

糖尿病患者を対象にした「ブドウ糖メモリー(胃酸効果)」の実験でわかること

糖尿病の患者さんを対象にした実験があります。

糖尿病の患者さんを2つの群に分け、一方の群は厳格な治療で血糖を非常にうまく下げます。もう一方はそこそこに治療してゆるやかに血糖を下げ、両者を10年間くらいフォローしました。

10年後、2つの群は血糖コントロールを続けており、両者は同じくらいの血糖値です。しかし血糖値が同じなのに、血糖を非常にうまく下げた群の方が心筋梗塞や脳梗塞が起こりにくくなっていました。

その後、さらに15年間くらい追跡すると、やはり血糖をきちんとコントロールした群の方が心筋梗塞や脳梗塞が起こりにくい状態を維持していたそうです。つまり、きちんと血糖コントロールをした良い影響はその後も残るということが示唆されました。

糖質の摂取量が記録されることを「ブドウ糖メモリー」といい、治療の効果が記録されることを「遺産効果」といいます。

NMNの摂取やホルモン作用にとって悪いメモリーを良くする可能性がある

エピゲノムが記憶されることを考えると、はじめから規則正しい生活をしていなければ健康な状態を保てません。

しかし実際には、エピゲノムの悪いメモリーをよくするような方法もいくつか考案されています。

例えば「NMN」という成分を接種すれば、エピゲノム作用によって健康によい影響をもたらす可能性があるでしょう。またホルモンの研究においても、エピゲノムの変化をもとに戻すようなものが見つかっています。

エピゲノムが起こりやすいゴールデンタイム

動物実験によると、エピゲノムの変化が起こりやすい「ゴールデンタイム」があることも分かっています。

現段階では、おそらく若いときにエピゲノムの変化が起こりやすく、もとに戻りやすいと考えられています。年齢を重ねてからだとエピゲノムの変化が起こりにくいので、比較的若い段階でうまく介入することが重要です。

医療の分野でも注目されるエピゲノム

医療の分野でもエピゲノムを利用して治療に役立て、遺伝子をうまくコントロールする方法が注目を集めています。

エピゲノムは治療も記憶する?

「治療のメモリー」というのも存在する可能性があります。

例えば高血圧の投薬を始めると、基本的には一生飲み続けなければなりません。しかし生活習慣の改善や塩分の制限が難しい場合は、高血圧の薬をすすめることになります。

しかし早い段階で高血圧をきちんと治療しておけば、薬をやめてもその効果が残るかもしれないという結果が出ているのです。1〜2年くらい治療すれば身体が覚えて、さらに生活習慣を整えることができれば、薬物治療を一生続けなくても血圧が上がりにくくなる可能性があります。

現段階では、動物実験で「治療のメモリー」があることが明らかになっています。今後研究が進んでいけば、万が一病気になってしまっても、きつい治療を続けずに済むようになるかもしれません。

エピゲノムを利用した遺伝子治療が注目を集めている

今後の医療分野では、エピゲノムの変化をうまく利用した治療法が注目されています。

現代、広く問題視されている生活習慣病のような病気は、生活習慣の悪化による小さな遺伝子のダメージが多数重なったようなものです。遺伝子がダメージを受けているなら、それを治すのは、やはり遺伝子治療ではないでしょうか。

近年では、エピゲノムをうまく変化させるような化学物質も発見されています。研究が進んでいけば、エピゲノムを利用した治療法が確立されていくかもしれません。

エピゲノムを理解して、遺伝子レベルから健康になろう

生命科学の研究が進むことで、生活に活かせる情報も広がってきました。その中でも日常的に取り入れられるコツを上手に活かすよう、自分自身の生活や健康習慣を「遺伝子レベル」で意識することは、一生にとっても有意義になるでしょう。

「エピゲノム」という新しい生命科学ワード、内容からも少し難しく感じるかもしれませんが、エピゲノムの仕組みを理解しておくことで、きっと今後の生活が大きく変わっていきます。

ご紹介したようにエピゲノムによって遺伝子や臓器が記憶すると知ったことでも、自然と不摂生や暴飲暴食のような「若気の至り」は、避けようと思えますよね。少しでも若いうちに生活習慣を改善することで、エピゲノムの良い変化を記憶させておけば健康状態は保ちやすくなります。

一生もののアンチエイジングのためにも早めに生活習慣を見直して、遺伝子レベルでいつまでも若々しく元気な状態をめざしましょう!

この記事でわかったこと

エピゲノムはゲノムDNAの化学修飾によって遺伝子を高度に活用するための仕組み
若気の至りによる生活習慣の乱れは遺伝子や臓器に記憶され、加齢してから元に戻すのは難しい
エピゲノムの変化を起こす物質が発見されており、今後は遺伝子治療の重要性が注目されている

この記事を動画で見たい方はこちら

最終更新日:2023.08.30

ダイエットを頑張っているけど、効果が出にくいとお困りの方へ

年齢とともにお腹、太もも、ヒップなどによく見られる肌表面の「凸凹」。これは、血行やめぐりの滞りなどが原因でできる脂肪と老廃物の固まりです。

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