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「グルテンフリー」という言葉を知っていますか?
小麦に含まれるグルテンを避けることで「ダイエット=食事療法」につながるとして、チャレンジする人が増えてきました。市販品にも「グルテンフリー」を訴求するアイテムも増えてきています。
そこで、本記事ではグルテンフリーがどのような影響をもたらすのかを解説します。無理なく実践できる方法を紹介するので、ぜひ実践してみてください。
小麦には実はタンパク質が6~14%程度含まれていて、その成分にグルテニンとグリアジンがあります。この2つが絡み合って出来上がるのが「グルテン」です。
小麦のこの弾力性のある性質がパンの弾力を産んだり、うどんのコシなど、美味しい食感を作ったりしてくれています。
さまざまな穀物の中でも小麦だけがこの2つを成分として持っているので、お菓子作りなどの調理によく活用されています。
小麦は複数の種類があり、主に4つに分類されています。
主にアメリカやカナダ産でタンパク質と粘弾性が強くパンや中華麺に向いている「硬質小麦」、オーストラリアや日本国内産が多い「中間質小麦」、主にアメリカ産のタンパク質が少なく適度に軟らかくて天ぷらやお菓子向きの「軟質小麦」、パスタやマカロニに向いている柔軟で弾力性の強いグルテンが豊富な「デュラム小麦」です。
またそれらの小麦から製粉された小麦粉にもいくつかの種類があります。具体的には、グルテンの量が多く、質も強く、粉の粒度も高くパンなどに活用される「強力粉」や、中間の性質をもちうどんなどに使われる「中力粉」、一番グルテンの量が少なく性質も弱くて粒度が細かくお菓子作りに便利な「薄力粉」があります。
小麦の種類だけではなく、製粉された状態によってもグルテンの含有量が異なるのです。
そんな小麦は、各国で育てやすく料理しやすいように品種改良も続いてきました。結果的にグルテン量が増えたことで、食後の消化負担も増えているのかもしれません。
グルテンフリーダイエットは、グルテンの摂取を控える食事法を指します。日本語でダイエットは「減量」を意味しますが、英語では「食事法」という意味です。
グルテンフリーダイエットでは、グルテンを含む小麦粉や、小麦を使ったパスタやパンを控え、代わりに米粉やアーモンド粉、大豆粉や、それらを使った食品を取り入れます。近年は日本でもグルテンフリーが浸透しつつあるため、スーパーやオンラインストアで購入できるグルテンフリー食品も少しずつ増えてきました。
糖質制限の場合、炭水化物など糖質を多く含む食品を制限するので、うどんやパスタの他、お米やそばも控える必要があります。しかしお米やそばにはグルテンが含まれていないため、グルテンフリーダイエットの場合は食べても構いません。
グルテンフリーは、もともとはグルテンに対するアレルギーがある人のための食事療法の一つでした。
しかし、明確に小麦へのアレルギーが目に見える症状として出ないタイプ(遅延性アレルギーなど)にも不調を改善する効果があるとして、海外のセレブが取り入れたことで、日本でも注目されるようになりました。
日本ではあまりなじみが少ないかもしれませんが、グルテンに反応して不調を起こす「セリアック病」の患者数の増加が欧米では社会問題になっています。
このため、グルテンを含む食材に表示義務を課す国も多く、グルテンフリーのメニューを取り入れるレストランも増えています。
そうした中で不調を減らすための「グルテンフリー」という選択肢が徐々に広まり、一般的に認知されるようになり、病気と診断されていない人でも気軽にグルテンフリー食を取り入れるようになりました。
実際にアレルギーを持たない人が取り入れた結果、体調や肌質が良くなったという報告が相次ぎ、健康志向の人々を中心にグルテンフリーの考え方はますます広まっています。
グルテンを抜くことが、なぜダイエットにつながるのでしょうか?
グルテンは、特に小麦に多いタンパク質で大麦やライ麦にも含まれます。つまり、パンやうどん、クッキーにもグルテンは入っているのですが、こうした小麦の加工品は糖質も多く含んでいます。
糖質はエネルギー源として使われますが、余れば脂肪となるため太りやすい食材の代表例です。グルテンを含む食材を減らすことで自然と糖質摂取量も減り、ダイエットにつながるというわけです。
またパンやうどんのような粉食は柔らかいので噛む回数が減って早食いになりやすく、お米のような粒食と比べてドカ食いしがちなのも気になるところです。
グルテンには中毒性(食べたくなる欲求が高まる)があるともいわれているため、グルテンを減らすことは、食事のコントロールにもつながると考えられます。
麺をあまり噛まずにすすったり、ふわふわなパンは多少大きくても飲み込めてしまったりするものですが、グルテンはそもそもタンパク質がぎゅっとつまった粘り気の高い食材です。日常的に食べている小麦によって、実は腹部の膨満感があったり、実際に排泄に軟便・便秘などにつながっていたりする方もいます。
このようなタイプは、グルテンフリーの食生活に変えることで、消化負担が減って、むくみ感や便秘を改善につながるケースもあり、結果的に不要な体重が減って減量につながっています。
グルテンフリーを実践する上で、意外と難しいのが食材選びです。ダイエットは、いかに無理なく継続できるかが大切なポイント。まずは、普段の食生活を見直して、どのような食材にグルテンが含まれるのかを確認してみましょう。
グルテンを含む食材を全て排除するのはかなり大変ですし、ストイックに選べばストレスになりかねません。食べている中で頻度が多いものから、できる範囲での摂取量を減らして、グルテンフリーを考えてみましょう。
例えば、毎朝パン食の人は、朝だけでもお米に変えてみる。週に何度もラーメンを食べるなら、十割そばにするといったことでもOK。頻度を減らすところからスタートすると取り入れやすいです。
外食でのグルテンフリーが難しいなら、家で食べるときにできるだけ避けるように意識するのも良いでしょう。
特に自分で料理をする方は、揚げ物を米粉や片栗粉を使って調理するなど代替素材での調理がおすすめです。
自宅においてあるお菓子を小麦系から、ナッツや米粉系のお菓子に変えるなどもおすすめです。お菓子は特に小麦を使っているものが大半になるので、常備しているお菓子を見直すことで「ちょこっと小麦食べ」を減らせます。
糖質は調味料にも含まれていることがあるので、下記の記事もぜひチェックしてみてください。
モヤモヤ不調改善に話題の“グルテンフリー”による食事療法!上手な始め方を専門家が解説!
以下の症状にお悩みがある方は、1週間ほど思い切って小麦系食材を断って、グルテンフリー生活を取り入れてみるのもおすすめです。
心当たりのある方は、最低3日から7日間は小麦がメインの主食、またお菓子を食べずに生活をしてみましょう。和食が一番コントロールしやすいので便利ですが、韓国料理(焼肉)、点心や中華麺などを除く中華(野菜炒め)、ステーキやハンバーグ、焼き鳥、十割蕎麦など、さまざまなメニューで過ごせます。
グルテンフリーが体に合っている場合は、3日経過すると胃腸の変化を感じられるでしょう。1週間経過する頃には、口内炎や肌荒れの変化を感じるかもしれません。
ご自身の体調変化を見て、体調がすこぶる良くなる!といった体感があったら、できる限りで小麦を減らしていけると、快適に過ごせます。睡眠の質が上がったり、だる重かった身体が軽くなって、代謝が整って痩せてきたりなど、良質な変化を感じられるでしょう。
グルテンフリーダイエットのメリットは、身体や肌の調子が良くなる効果が期待できることです。
グルテンに敏感な体質の方の場合、グルテンの摂取によって消化不良を起こしている可能性があります。そのため、グルテンフリーダイエットをすることで、消化不良による胃もたれや不快感などの症状を抑えられるかもしれません。腸内環境の改善が目指せるので、便秘解消にも効果が見込めます。
また体質によっては、グルテンの影響で肌荒れが起きてしまうこともあります。グルテンを含む食品を避けることで、なかなか治らないニキビなどの肌荒れの改善も期待できるでしょう。
グルテンフリーダイエットを行うと、代謝がアップする効果も見込めるため、太りにくく痩せやすい体作りを目指せる可能性も高いです。前述した通り、糖質の摂取量を抑えたりドカ食いを予防したりする効果も期待できるので、希望の体型に近づきやすくなるでしょう。
加えて、イギリスで行われた研究では、グルテンの摂取を控えることで疲労感が軽減されると報告されています。グルテンフリーダイエットを実践すれば、なかなか取れない慢性的な疲れを解消できるかもしれません。
グルテンフリーダイエットのデメリットは、栄養不足に陥る可能性があることです。
小麦などのグルテンを含む食品の摂取を制限すると、食物繊維や鉄分、ビタミンB群などの栄養が不足しやすくなります。グルテンフリーダイエットをする場合は、これらの栄養素を他の食品で意識的に補うことが大切です。食事で補うのが難しい場合は、サプリメントを取り入れると良いでしょう。
また普段食べる食品の多くにグルテンが含まれているため、食品選びが難しくなってしまうこともデメリットといえます。特に外食中心の方は、意識してもいても知らないうちにグルテンを口にしてしまう可能性が高いです。市販で購入できるグルテンフリー食品は増えつつありますが、そうでない食品と比べると値段が高い傾向にあるので、食費がかさんでしまう恐れもあるでしょう。
グルテンフリーダイエットは、小麦の量を減らすだけで、排泄や肌の調子が変わるセルフケアです。
しかし、健康美を維持してダイエットするためには、バランスの取れた食事が基本となります。グルテンフリーにこだわりすぎて、栄養バランスが極端に崩れて、栄養不足にならないように注意しましょう。
小麦を減らすことと、栄養をしっかり摂ることは別です。たとえパスタを避けたとして、その代わりメインのお肉と野菜をしっかり取りましょう。グルテンフリーという視点を上手に取り入れつつ、栄養が偏ることのないよう十分に注意し、快適な生活を体に入れましょう。