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重い荷物を持ち上げたり、長時間イスに座ったりしていると突然やってくる腰や背中の痛み。
腰や背中のこわばりがひどくなると、ふとした瞬間にぎっくり腰に……。なんてことも起こり得ます。
そこで今回は自宅で簡単にできる腰と背中のストレッチを、元オリンピック選手の柳澤哲さんに教えていただきました。
人間の祖先も、もともとは多くの動物と同じように四足歩行で生活していました。進化の過程で脊椎が進化し、二本足で生活できるようになりましたが、二本足でまっすぐ立つには構造上不合理な点も残っています。普段の生活で自然と腰や背中に負担がかかってしまうことが、腰や背中の痛みの原因の一つです。
それに加えて、加齢による骨や軟骨の衰え、重い荷物を持ち上げるなどの負荷が大きな作業によるダメージの蓄積も腰や背中の痛みの原因といえます。また姿勢が崩れていると、正しく筋肉を使えず、腰や背中に不必要な負担がかかるため、痛みの原因となってしまうでしょう。
ここからは、腰や背中の痛みの原因をそれぞれ詳しく解説していきます。
年齢を重ねることによる骨や軟骨の衰えや、姿勢の悪さなどが原因で、以下のような疾患を発症すると、腰に痛みを感じることがあります。
また何らかの動作で急に腰に強い痛みを感じる「ぎっくり腰」も、腰の痛みの原因です。ぎっくり腰の原因ははっきりと解明されていませんが、中腰の状態で何らかの動作を行った際に起こりやすいとされています。転倒などの外的なダメージによる腰椎の骨折や筋肉の損傷、骨粗しょう症や骨腫瘍による腰椎の骨折も、腰の痛みの原因です。
加えて、腰以外の部分に痛みの原因があるケースもあります。体はつながっているので、足に合わないサイズの靴を履いていることで、腰痛が起こってしまうケースも少なくありません。尿路結石や十二指腸潰瘍、子宮筋腫、子宮内膜症、うつ病といった病気が原因で、腰に痛みを感じることもあります。
厚生労働省によると、腰痛のうち約85%は、原因がはっきりしない「非特異的腰痛」です(※)。不規則な生活習慣や仕事からくるストレスなど、心理的な要因によって腰痛が起こるケースもあります。
※参考:厚生労働省.「第2章 腰痛対策」.(参照 2025-01-20)
背中の痛みの原因もさまざまなものが考えられます。
腰の痛みと同様に、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などによって痛みを生じることがあります。また以下のような疾患も、背中の痛みの原因です。
激しい運動や間違った姿勢での筋トレなどによって、背中の骨や筋肉、関節、神経などに負荷が加わることも、背中の痛みの代表的な原因になります。腰椎骨折によっても、背中に痛みが出てしまうケースは珍しくありません。
加えて一見腰の痛みとは関係がないような、肝炎や肝臓がん、胆嚢炎、胃炎、胃潰瘍、膵炎など消化器系の疾患や、心筋梗塞や狭心症といった循環器系の疾患、子宮筋腫などの婦人科系の疾患、急性虫垂炎なども背中の痛みの原因です。背中とは異なる箇所に痛みの原因があるケースも多く、腰痛でもご紹介したように足に合わない靴を履いていることで、背中に痛みを感じることもあります。
また過度のストレスから背中の痛みを感じる方も少なくありません。
そこで今回は、自宅で簡単にできる、つらい腰と背中を伸ばすストレッチをご紹介します。
最初に片方の手首をもう片方の手で持ち、上にグーっと引き上げます。
腕を引き伸ばしたまま、背中を丸めるようにして体を斜め前に倒していきます。
伸ばした手でつま先を触るようにして、体を引っ張るようにそのまま前に倒していきます。
前屈した状態で、呼吸をゆっくりと吐き切ります。背中がしっかりと伸びているのを意識して、10〜20秒程度この体勢をキープします。
元の姿勢に戻るときは、ゆっくりと戻りましょう。
このストレッチは、横に倒すと脇腹のストレッチになりますが、背中を伸ばしてあげるときにはしっかりと体を斜め前に倒すのがポイントです。
グーっと背中が気持ちよく伸びるのを意識して倒していきましょう。
腰や背中は、長時間イスに座っていたり、寝ているときにも負担がかかったりするもの。
つらい症状が出てくる前に、ストレッチで小まめに固まっている部分を伸ばしてあげることが大切です。
腰や背中の痛みが気になる方は、ぜひ今日から試してみてください。