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気温が急に高くなったり、蒸し暑い日が続いたりすると、食欲がなくなる・体がだるくなるという人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、暑さと自律神経の関係や、暑くなってきたときに気を付けたい自律神経を整える方法を紹介します。
暑さと自律神経の関係を知る前に、そもそも自律神経とはどのようなものなのかをおさらいしておきましょう。
自律神経とは、生きていくために欠かせない呼吸や心臓の動き、血流、消化や代謝、排泄などの機能をコントロールする働きを持つ神経のことです。運動で筋肉を動かす際に働く運動神経とは異なり、自律神経は自分の意思でコントロールできません。
自律神経は、交感神経と副交感神経の2つに分けられます。交感神経が優位なときは、体が興奮状態や緊張状態になり、副交感神経が優位なときは、リラックスした状態になるのが特徴です。体の各器官の働きは、以下のように変化します。
交感神経が優位 | 副交感神経が優位 | |
---|---|---|
呼吸 | 速く浅くなる | ゆっくり深くなる |
心臓の動き | 速くなる | ゆっくりになる |
血管 | 収縮する | 拡張する |
消化 | 抑制する | 促進する |
発汗 | 促進する | 抑制する |
排泄 | 抑制する | 促進する |
交感神経と副交感神経が相互にバランスを取りながら働くことで、私たちは心身ともに健康な状態を維持することが可能です。しかし、何らかの原因で交感神経または副交感神経が優位になり過ぎると、自律神経のバランスが崩れてしまいます。これが「自律神経が乱れた状態」です。
自律神経が乱れると、以下のような症状が現れることがあります。
過度なストレスを感じている方や不規則な生活をしている方は、自律神経の乱れが生じやすいです。また年齢を重ねると、男性も女性も自律神経が衰えてしまい、バランスが崩れやすくなることが分かっています。特に年齢を重ねると交感神経よりも副交感神経が衰えやすいため、交感神経が優位になり、上記のような症状が現れてしまいやすいでしょう。
夏に限らず、環境の変化がある季節の変わり目は自律神経の乱れが起きやすいタイミングです。中でも気温がかなり高くなる夏は、自律神経が乱れてしまう方が少なくありません。
暑い夏に自律神経が乱れやすくなるのは、体温調節のために自律神経が過度に働いてしまうことが原因です。自律神経は体温調節も司っており、発汗を促して体温を下げる役割があります。気温がかなり高い日は、体温を下げるために自律神経がフル稼働しなければならないため、自律神経自体に疲れがたまり、バランスが崩れやすくなってしまいます。
また暑い屋外から冷房が効いた室内に入ると、その都度体温調節をしなければなりません。繰り返し体温調節をしていると、自律神経に過度の負担がかかり、自律神経の乱れが生じてしまうのです。
自律神経が乱れると、体温を適切に下げられないので、熱中症のリスクが高まってしまいます。前述した通り、自律神経が乱れる原因の一つは加齢です。年齢を重ねると自律神経の働きが衰え、高齢になればなるほど熱中症になりやすくなるため、注意しなければなりません。
加えて女性は、更年期に近づくことで自律神経の乱れが生じやすくなります。更年期とは閉経を挟んだ前後10年のことです。更年期に近づくと、女性ホルモンの分泌が急激に減少し、ホルモンバランスが乱れます。
女性ホルモンの分泌を司っているのは、脳の視床下部と呼ばれる部分です。視床下部は自律神経の調整も担っているので、ホルモンバランスに乱れが生じると、自律神経も影響を受けやすくなります。その結果、自律神経が乱れ、前述したような自律神経の乱れによって引き起こされる症状が更年期症状として現れることも多いです。
代表的な更年期症状の一つに、ホットフラッシュがあります。ホットフラッシュとは、気温や室温に関係なく、ほてりやのぼせ、急激な発汗などが起こる症状のことです。更年期には季節にかかわらずホットフラッシュが起こりますが、屋外と屋内の寒暖差が激しい夏場は、特に起こりやすいとされています。
自律神経の乱れは、夏バテを引き起こす原因の一つとされています。暑い季節も健康に過ごすには、自律神経の乱れを防ぐことが大切です。これからご紹介する4つの方法を意識して、暑い夏を乗り切りましょう。
自律神経の乱れを防ぐには、室内外の温度差の調節を心掛けることが大切です。
自律神経は、5度以上の寒暖差を繰り返すと乱れやすくなるとされています。寒暖差が激しくならないよう、室内で過ごす際はエアコンを26度から28度程度に設定しましょう。またエアコンや風が直接当たると体が冷えやすくなるので、扇風機やサーキュレーターを使って、空気を循環させてください。
オフィスなどでエアコンの設定温度を調節できないときは、カーディガンを羽織ったり、ブランケットを使ったりして冷えを防ぐことも大切です。
栄養をしっかり取ることも、自律神経の乱れを防ぐには効果的です。
夏場は食欲が落ちやすいため、さっぱりしたそうめんや蕎麦などで食事を済ませてしまう方も多いかもしれません。すると、栄養バランスが崩れてしまうので、自律神経が乱れやすくなり、夏バテになってしまいやすいです。
体力を維持するために、エネルギー源となるタンパク質を意識的に摂取しましょう。またストレスを緩和させる作用や、神経伝達をサポートするビタミンやミネラルも積極的に取ることが大切です。ビタミンやミネラルは、タンパク質の代謝もサポートするため、効率良くエネルギーを作り出せます。
自律神経を整えるには、適度な運動をすることも心掛けましょう。
運動不足になると、汗を分泌する汗腺の働きが弱くなり、暑い場所でも汗をかきにくい体質になってしまいます。
日常生活の中で汗をあまりかかないと感じるなら、一日短時間でもいいので、外気にふれ、自然に汗をかける時間を作りましょう。
特に暑い時期は運動をして汗をかかなくても、少し外に出て汗をかくだけでもサラッとした質の良い汗がかけるチャンスです。
おすすめの方法は、
などです。
普段運動やトレーニングをしないという人でも、暑い時期は歩くだけでじんわりと汗がかけるのでおすすめです。
自律神経を整えるためには、水分補給も欠かさず行いましょう。
適度な運動をしても、水分が不足していると汗をかきにくくなってしまいます。デスクワークなどで一日の大半を室内で過ごす方は、十分に水分が取れていない可能性があるので、意識して水分補給をするようにしましょう。
夏場など特に暑い時期の水分補給は、1日1.5〜2.5リットルほどが理想です。お茶やコーヒー、ジュースは除き、水だけでこれぐらいの量を摂取することを目安にしてみてください。
水分をきちんと摂取すると、梅雨の時期に多い、気象による体調不良の改善も期待できます。頭痛などの症状は水分不足が原因となっていることもあるので、夏だけに限らず一年中小まめに水分を摂取することを心掛けると、不調対策になります。
暑い時期にはご飯を食べたり、普段よりも多く寝たりして、体力の維持や回復のために努力している方が多いかもしれません。もちろんそれらの行動も効果的ですが、自律神経の乱れを予防することで、さらに暑さに負けない体作りができます。
今回紹介した方法は簡単に取り入れやすいものなので、自分ができるものからぜひトライしてみてください。