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サンダルウッドは白檀とも呼ばれる樹木で、お香やアロマオイル、香水などとして用いられます。エキゾチックな香りが特徴ですが、サンダルウッドの香りにはどのような効果や効能が期待できるのでしょうか。
本記事では、サンダルウッドの特徴や種類、効果・効能を紹介します。
サンダルウッドとは、インドやスリランカ、インドネシアに自生している樹木です。
仏教やヒンドゥー教の寺院でお香として用いられてきた香木で、日本でもさまざまな宗教儀式で焚かれてきた歴史があります。現代でもお香として用いられる他、アロマオイルや香水としても使われている人気の香りです。
サンダルウッドは、他の植物の根っこに寄生して育つ植物です。
主な産地はインド南部のマイソールで、マイソール産のサンダルウッドは最高クラスの品種とされています。ただしマイソール産のサンダルウッドは絶滅危惧種に指定されているため、現代ではかなり貴重な香料です。人工的に育てるのは難しく、自生してから30年以上たたないと香りを放たないとされ、より上質な香りになるには80年以上かかるといわれています。
サンダルウッドは「白檀(びゃくだん)」という名前でも知られています。明確な定義はありませんが、アロマオイルとして用いられる場合はサンダルウッド、お香として用いられる場合は白檀と呼ばれるのが一般的です。
サンダルウッドは、スパイシーかつ甘みを感じさせるエキゾチックな香りが特徴です。
樹木の中心部や根っこを細かく刻んで、香料が抽出されるため、森をイメージさせるウッディ系の香りも感じられるでしょう。イランイランやムスクと似た香りといわれることがあります。
香りの元となっているのは「サンタロール」という成分です。この成分は人工的に合成できないので、サンダルウッドの香りは、数ある香水の原料の中でも特に貴重なものの一つとされています。
また古くから線香や扇子、仏具としても使われていたため、サンダルウッドの香りを嗅ぐと懐かしいと感じる方もいるはずです。
比較的長く香りが続くのが特徴ですが、強い香りではありません。お出かけの際やお仕事の際に軽く付けてみるのもおすすめです。
宗教とのつながりも深いサンダルウッドは、何千年も前からアジアで香木として用いられています。
仏教やヒンドゥー教では「亡くなった方を来世に運ぶ香り」といわれており、宗教儀式でサンダルウッドが使われてきました。またインドやスリランカの伝統医療で、日本にも入ってきている「アーユルヴェーダ」では、サンダルウッドが薬草として用いられてきた歴史もあります。
サンダルウッドの種類は15種類以上あるといわれています。
ここからは代表的なサンダルウッドの種類である「インディアン サンダルウッド」と「オーストラリア サンダルウッド」についてご説明します。
インディアン サンダルウッドは、インドのマイソール地域で作られている希少価値の高いサンダルウッドです。
樹齢20〜30年以上のサンダルウッドの中心部や根っこから香りが抽出されます。透明感のある無色から黄金色の液体で、やや粘り気があります。クリーミーな甘みが感じられ、落ち着きを感じさせるエキゾチックなウッディ系の香りです。
オーストラリア サンダルウッドは、その名の通りオーストラリアで生産されているサンダルウッドです。絶滅危惧種になったインディアン サンダルウッドの代用として、現在はオーストラリア サンダルウッドが多く出回るようになりました。
インディアン サンダルウッドの香り成分と同じ成分が含まれており、同じような香りが楽しめますが、オーストラリア サンダルウッドの方がややライトな香りだといわれています。
サンダルウッドに期待できる効果を見ていきましょう。
サンダルウッドは、喉の痛みや咳、気管支炎など、呼吸器トラブルから来る諸症状の改善に効果が見込めます。去痰作用を持つので、痰の解消にも効果が期待できるでしょう。
サンダルウッドには、むくみ改善効果も期待できます。主成分である「サンタロール」に、血行や利尿を促す作用があるため、身体の巡りを改善し、むくみの軽減を目指せるでしょう。また凝り固まった筋肉を和らげる作用もあるといわれています。
安眠・メンタルケアも、サンダルウッドに期待できる効果です。瞑想にも使用されてきた歴史を持つサンダルウッドは、緊張を和らげる作用があり、リラックスした状態に導いてくれます。睡眠の質向上にも効果が見込めるでしょう。
サンダルウッドには、スキンケア効果もあります。皮脂の分泌をコントロールする作用があるため、さまざまな肌質の方に適しているのが特徴です。保湿作用や肌を柔らかくする作用があるので、潤いや弾力がある肌を目指せるでしょう。
集中力の向上もサンダルウッドに期待できる効果の一つです。サンダルウッドの香りは、心身ともにリラックスできる香りなので、気持ちを落ち着けてくれます。リラックスすることで、目の前のことだけに集中しやすくなるでしょう。
サンダルウッドには、免疫力を高める効果も見込めます。免疫力が向上すれば、風邪やインフルエンザ、コロナなどにもかかりにくくなるでしょう。
血行促進効果も、サンダルウッドに期待できる効果です。血行を促進することで、老廃物が排出されやすくなる他、肩こりや首こり、腰痛などを軽減する効果も得られる可能性があります。
サンダルウッドは、抗菌・消毒作用を持っているのも特徴です。空気中のウイルスを除去する効果が期待できるため、室内環境を整えられます。
感情を安定させる効果も、サンダルウッドに期待できる効果の一つです。自律神経に働きかけ、状況に応じて交感神経と副交感神経のどちらかを刺激してくれるため、心のバランスが整いやすくなるでしょう。
更年期の症状をケアするためには、サンダルウッドなどの幸せホルモン「オキシトシン」を上昇させるアロマの活用が効果的です。ここでは、更年期症状の緩和に効果が期待できるアロマの種類や、効果的な取り入れ方を解説します。
幸せホルモン「オキシトシン」を増加させることで、更年期の精神的な不調を緩和できます。
▼更年期におすすめのアロマ
上記3つのアロマは、幸せホルモン「オキシトシン」の分泌量を増やすことが論文で発表されています。
不安やイライラ、うつ症状や性欲減退など……更年期の精神的な不調が気になるときは、積極的に取り入れてみてください。
「クラリセージ・カモミールローマン・サンダルウッド」は、香りを20分間嗅ぐとオキシトシンの分泌量を増加させることが分かっています。
香りを焚きっぱなしにするよりは、朝・昼・晩など定期的に20分くらい香りを嗅ぐのが効果的です。
▼アロマの取り入れ方
お風呂は蒸気によって香りが充満しやすく、リラックスできるので特におすすめの方法です。
外出時は香水代わりにアロマオイルを付けたり、ハンカチに染み込ませたりしておきましょう。不安やイライラが出てきたらアロマを嗅げば、気分がスーッと落ち着いていくはずです。
更年期には「クラリセージ・カモミールローマン・サンダルウッド」のアロマを活用するのがおすすめ。
これらのアロマを20分嗅ぐことで、幸せホルモン「オキシトシン」が分泌されることが分かっています。すると精神的な不安やイライラ、うつ症状などの緩和効果が期待できるのです。
更年期だけでなく、女性ホルモンが減少しがちな生理前やマタニティブルーにも効果が期待できます。心が揺らぎやすいときは、日中もアロマを持ち歩いて気分を落ち着けてみてください。
サンダルウッドを使用する際は、これからご紹介する3つのポイントに注意してください。
サンダルウッドをはじめとした精油は香水代わりに使用することもできますが、原液を肌にそのまま付けないようにしましょう。
精油は刺激が強いので、肌トラブルを起こしてしまう恐れがあります。肌に付けるときは、精油を薄めるために用いられるキャリアオイルを使用して、希釈するようにしてください。キャリアオイル30mlに対し、1〜6滴程度の精油を目安にしましょう。顔に使用する場合はキャリアオイル30mlに対し、1〜3滴程度がおすすめです。
まずは1滴からスタートして、様子を見ながら調整してください。
サンダルウッドを使用する際は、誤って飲んだり目に付いたりしないよう十分注意が必要です。
精油の中には、経口摂取で毒性が現れるケースもあります。薄めたサンダルウッドでも誤って飲んでしまうと危険なので、絶対に口にしないでください。万が一誤飲してしまった場合は、大量の水で口をすすいでください。お子さんが誤飲した場合は、できるだけ早く病院を受診しましょう。
また目に入った場合も、何らかの症状が出る可能性が高いです。サンダルウッドを扱った後の手で、そのまま目をこすらないように注意してください。
さまざまな効果が期待できるサンダルウッドですが、無理に使用する必要はありません。
香りの好みは人それぞれです。例えばリラックス効果を得たいからといって、苦手な香りなのに無理に使用しても、リラックスすることは難しいでしょう。アロマオイルにはさまざまなものがあるので、ご自身が好きな香りを見つけることが大切です。
最後に、サンダルウッドの香りを楽しむ3つの方法をご紹介します。
衣類や寝具の香り付けやエアフレッシュナーとしてサンダルウッドを使いたいなら、アロマスプレーを作りましょう。ご自身でアロマスプレーを作ることで、香りの強さを調整できます。
アロマスプレーを作る際は、スプレーボトルと以下のものを用意してください。
まず精油と無水エタノールをスプレーボトルに入れてしっかり振って混ぜます。後は、精製水を加えて、さらに振り混ぜれば完成です。
布に吹く際はシミになる可能性があるので、先に目立たない箇所で試すようにしましょう。
サンダルウッドの精油で入浴剤を作れば、アロマバスが楽しめます。
入浴にもリラックス効果があるので、相乗効果でより睡眠の質を高められるかもしれません。入浴剤を作る際は、以下のものを用意しましょう。
容器に材料を入れ、しっかり混ぜれば1回分の入浴剤が完成です。お風呂に入れてサンダルウッドの香りを楽しみましょう。リラックス効果を高めるには、38〜40度程度のぬるめのお湯にして、じっくり身体を温めるのがおすすめです。
芳香浴はアロマオイルの香りを楽しみながら、香り成分を体に取り込むことを指します。
芳香浴の方法はいくつかありますが、手軽なのは、マグカップを使った方法です。マグカップに熱湯を注ぎ、2〜3滴程度サンダルウッドの精油を垂らしましょう。後は湯気に顔を近づけて、深く呼吸を繰り返すだけです。
成分が目を刺激してしまう恐れがあるので、目を閉じた状態で行ってください。また誤って飲んでしまわないように、芳香浴を楽しんだら、すぐにマグカップを片付けましょう。