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衰えたオートファジーは回復するのか?最新研究でわかっていること!オートファジー研究第一人者の吉森保博士が解説

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キレイな人はもうはじめています!自然体で若々しくいるために1日でも早いエイジングケア(※1)を取り入れませんか?

       

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監修者

・大阪大学大学院生命機能研究科教授 ・医学系研究科教授 ・生物科学者 ・医学博士

吉森 保

生命科学者、専門は細胞生物学。医学博士。大阪大学大学院生命機能研究科教授、医学系研究科教授。
1996年オートファジー研究のパイオニア大隈良典氏(2016年ノーベル生理学・医学賞受賞)が国立基礎生物学研究所にラボを立ち上げた時に助教授として参加。
国立遺伝学研究所として独立後、大阪大学大阪大学微生物病研究所教授を経て、現職。2017年大阪大学栄誉教授、2018年生命機能研究科長。

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歳を重ねるごとに老化を感じ「若返りたい」と思うことはありませんか?

確かに、毎年のように疲労感が増えたり、肌の衰えなど体感することは多いですね。しかし新しい研究では、一度衰えても回復できる可能性が見出されたのです!

そこで今回は、オートファジーの研究に長年取り組まれている大阪大学の吉森保教授に「オートファジーの働きにブレーキを掛けるルビコン」や「加齢と免疫力」について教えていただきました。

少し専門的ですが、健康的で若々しい身体を保つためのヒントがたくさん詰まっているので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

この記事でわかること

オートファジーにブレーキをかける「ルビコン」とは?
オートファジーが衰えると免疫力も下がる?
衰えたオートファジーは回復する?

「ルビコン」が増えるとオートファジーの働きは衰える

オートファジーは細胞の部品の一部を壊して分解し、新しい部品にリサイクルする働きがあります。日々それが行われることで、細胞は新しく生まれ変わっています。

オートファジーのシステムが維持されていれば、年齢を重ねても細胞は健康を維持できるはずです。しかし残念なことに、オートファジーは加齢と共に低下してしまいます。

それが、私たちが加齢によって老化し、病気にも罹りやすくなる原因にもなっています。

実は、オートファジー加齢による低下には「ルビコン」というタンパク質が関係していることが最新研究で分かりました。

美しいカラダのためにオートファジーを活性化させるには?生命科学から学ぶ健康・美しさの仕組み

歳を取るとオートファジーのブレーキ役「ルビコン」が増える

年齢を重ねるとオートファジーの働きが低下する原因は、加齢によってオートファジーのブレーキ役である「ルビコン」というタンパク質が増えるからだったのです。

オートファジーは細胞の部品を壊すので、壊しすぎるのを防ぐために「ルビコン」があると考えられます。しかし加齢によって「ルビコン」が増えすぎると、オートファジーの必要な働き自体が低下してしまうのです。

脂っこい食事ばかりだと「ルビコン」が増える

加齢によって増える「ルビコン」は、高脂肪食(脂っこい食事)を続けることでも増加することが分かっています。

脂肪肝の研究で、マウスに高脂肪食を与え続けると肝臓の「ルビコン」が増加しました。「ルビコン」が増えることでオートファジーが抑制され、脂肪を分解しなくなり、細胞の中で油の塊がどんどん増えてマウスは脂肪肝になってしまったのです。

加齢による「ルビコン」増加は避けられないかもしれませんが、高脂肪食を控えることで「ルビコン」を抑えることはできます。オートファジーの働きを維持するために、できるだけ脂っこい食事は控えるとよいでしょう!

「ルビコン」を抑えると寿命が伸び、加齢性の疾患も低下

肝臓で「ルビコン」が作れないマウスを作り、高脂肪食を与え続けたところ、マウスは脂肪肝になりませんでした。

現時点では「どうして脂肪肝にならなかったか」というと、オートファジーの働きが保たれたからだと考えられています。さらに「ルビコン」がない動物は寿命が1.2倍に伸び、加齢性の疾患にも罹りにくくなることが分かりました。

加齢性の病気とは「アルツハイマー型認知症」「パーキンソン病」など、お年寄りに多い病気のこと。お年寄りの失明原因の第一位である「加齢性黄斑変性」という目の病気や「慢性腎症」など、さまざまな加齢性の疾患が「ルビコン」の抑制によって発症しにくくなったのです。

つまり「ルビコン」を抑制してオートファジーの働きが維持できれば、寿命が伸び、病気になりにくくなると考えられます。将来的には健康寿命が伸びて、最期まで苦しむことなく元気でいられる「ピンピンコロリ」を多くの方が実現できるかもしれません。

将来的には「ルビコン」を抑える薬ができる?

現在、ルビコンの働きを止めてしまうような「ルビコンの阻害剤」という薬の開発を行っています。

ただし薬は副作用などもあるので慎重に開発が進められていて、新薬ができるまでに10〜20年かかるかもしれません。開発に多くの予算を使いますし、将来的に薬として使えるかどうかも分からないような状態です。

一方で、オートファジーを活性化させる食品成分や生活習慣も少しずつ分かってきています。きっと将来できるであろう薬を期待して待つだけではなく、今のうちからできることを少しずつ始めて、オートファジーの活性化に働きかけていきましょう。

オートファジーってなに?オートファジーを活性化させる食事や生活とは?

オートファジーが低下すると免疫力も低下する

オートファジーの働きが低下すると、免疫力も低下してしまいます。

ウイルス感染症やさまざまな病気を防ぐためにも、オートファジーの働きを維持することが非常に重要です。

オートファジーが低下すると抗体を作りにくくなる

人間は約37兆個の細胞で構成されていますが、その中に免疫システムを担う細胞が何種類もあります。

例えばワクチンを打つと「抗体」ができますが、「抗体」というのは抗体をつくる専門の「B細胞」が作るタンパク質です。しかし年齢を重ねてオートファジーが低下すると「B細胞」の働きも悪くなり、抗体を作りにくくなってしまいます。

そもそも加齢によって免疫は低下していくもの

免疫というのは、そもそも加齢によって低下します。

免疫系の細胞が衰えると、他の細胞も老化していくのです。すると慢性炎症といって、身体のあちこちで慢性的に炎症を起こしているような状態が続いてしまいます。

つまり免疫系が老化すると他も老化するという、悪循環が起こるわけです。お年寄りが病気になりやすかったり、ワクチンが効きにくかったりするのは、免疫系の老化が起こっているからだと考えられます。

どうして免疫系の老化が起こるのか、詳しいことはまだ分かっていません。ただ、免疫系が老化する1つの原因としてオートファジーの低下が影響しているといえるでしょう。

衰えたオートファジーの働きを回復できる?

年を取るとオートファジーの働きが低下し、さまざまな不調が起こりやすくなります。

しかし、すでにオートファジーが衰えてしまったと感じている方もご安心ください。実は、オートファジーの働きが低下しても回復できる可能性が高いことが分かっています。

お年寄りの細胞にスペルミジンをかけたらオートファジーが再び活性化した

お年寄りから抗体を作れなくなったB細胞を取り出して、そこに「スペルミジン」という成分をかけました。

すると、なんとオートファジーが活性化して細胞から再び抗体が作られるようになったのです。

この実験で、2つの重要なことが発見されました。1つはオートファジーの低下が抗体を作れなくしているということ、もう1つは「スペルミジン」がオートファジーの活性化に効果があるということです。

オートファジーの働きは何歳からでも回復できる可能性が高い

お年寄りの細胞の実験で最も重要な発見は、何歳からでもオートファジーは回復できる可能性があるということです。

もちろん抗体を作る細胞の実験で得られた結果なので、他の細胞でも同様の結果になるかは調べてみないと分かりません。しかしおそらく、他の細胞でもオートファジーを回復できる可能性は高いと考えられるでしょう。

衰えたオートファジーの働きを再び活性化できれば、さまざまな不調が改善できるはずです。すでに老化してしまったと実感している方も諦めず、これからはオートファジーを活性化できるような食事や生活習慣に取り組んでみてください。

老化を諦めないで!オートファジーの衰えは回復できる

オートファジーの働きにブレーキをかける「ルビコン」というタンパク質は、加齢や高脂肪食によって増加してしまいます。

「ルビコン」が増えるとオートファジーの働きが低下して細胞の健康を保ちにくくなるので、年を取ると病気に罹りやすくなるのです。さらにオートファジーの低下によって免疫系も老化し、免疫系の老化によって他の細胞も老化してしまうという悪循環が起こるようになります。

しかしオートファジーは一度衰えても、回復する可能性が高いようです。食事や生活習慣を改善することでオートファジーを再び活性化させて、いつまでも健康的で若々しい身体を保ちましょう。

老化や病気を防ぐ?!細胞の重要な仕組み「オートファジー」について解説

この記事でわかったこと

加齢や高脂肪食によって「ルビコン」が増えるとオートファジーの働きが低下する
オートファジーが低下すると免疫細胞も衰えて免疫力が下がりやすくなる
一度衰えた細胞でもオートファジーを再び活性化できる可能性は高い!

この記事を動画で見たい方はこちら

最終更新日:2023.03.09

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