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「なんだか老けた気がする」「不調になることが増えた」など……身体の老化を感じていませんか?
今までは、老化は抗えないものだと考えられてきました。しかし生命科学におけるアンチエイジングの研究が進むにつれて、老化した細胞はサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)の活性化によって修復できることが分かったのです。
さらに、サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)はザクロの成分「ウロリチン」によって活性化できることが分かりました。テレビでも特集されるようになり「ウロリチンって何?!」と気になっている方も多いと思います。
そこで今回は、「ウロリチン」について解説するとともに、上手に日常的に取り入れるポイントをご紹介します。ウロリチンが含まれているザクロの基本情報や、アンチエイジングに効果的な食品の選び方も紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
ザクロはミソハギ科ザクロ属に分類される果物で、ザクロ科に分類されることもあります。
イランが原産地で、約5,000年以上前から栽培されていたとされています。アジアには約2,000年前にシルクロードを経て伝わってきたとされており、諸説ありますが、日本には平安時代に中国から伝えられたといわれている果物です。
茶褐色の皮に包まれていますが、中にルビーのように赤く小さな粒状の果実がたくさん詰まっているのが特徴です。甘酸っぱく爽やかな味わいで、かむと独特のプチプチとした食感を楽しめます。
日本では1999年から2000年頃に、ザクロブームが起きました。このブームは、「ザクロにエストロゲンが豊富に含まれている」とメディアで報道されたことがきっかけです。エストロゲンによる更年期障害の症状緩和や男性の抜け毛予防効果などに注目が集まり、ザクロの成分を配合した健康食品や飲料なども多く登場しました。
ただし国民生活センターが行った調査によると、ザクロの果汁や、エキスを配合した食品からはエストロゲンは検出されませんでした。そのため、科学的に前述したような効果が立証されているわけではありません。
ザクロの主な産地は、アメリカやイランです。その他にもトルコやスペイン、チリ、中国などでも作られています。国内では和歌山県や山梨県などで栽培されていますが、生産量はごくわずかです。国内で栽培されるザクロは酸味が強いといわれており、市場に流通しているザクロはほとんどが輸入品とされています。
ザクロは秋の味覚の一つで、旬は9〜11月頃です。この時期を過ぎると、店頭で見つけるのは難しいでしょう。
ザクロは身を取り出して、果肉をそのまま食べるのがおすすめです。以下のようにして、果肉を取り出しましょう。
1.ザクロの尖っているへたの部分から1〜2cm程度のところをカットする
2.白い房に沿って、縦に切り込みを入れる
3.切り込みに沿って、ザクロを開き割り、中央の薄皮を取り除く
4.ボウルに張った水の中で、果肉を取り出す
5.薄皮を取り除いて、水気を切る
ボウルの中で果肉を取り出すときは、皮の外側からスプーンで軽く叩くと取りやすいです。
なお、ザクロの果肉の中には小さな種がありますが、種も一緒に食べて構いません。
生でそのまま食べるとザクロ特有の食感が楽しめますが、果肉を絞ったりミキサーにかけたりして、ジュースやスムージーにするのもおすすめです。またサラダやヨーグルトのトッピングにしたり、煮詰めてジャムにしたりしてもおいしく味わえるでしょう。
前述した通り、ザクロは果肉とその中にある種を食べることができます。しかし、皮には毒性があるため、食べる際は注意してください。
ザクロの皮には、かつてサナダムシの駆除に用いられていた猛毒の「ペレチエリン」という成分が含まれています。この成分は、ザクロが外敵から身を守るために作り出される成分です。皮のまま食べてしまうと、吐き気や下痢の他、めまい、立ちくらみなどが引き起こされる可能性があります。一度食べてしまうと、毒が完全に抜けるまで症状が続く可能性があるので、食べる際は皮を決して口にしないように注意しましょう。
ザクロは栄養バランスが良く、栄養価が高いスーパーフードといわれています。ザクロに含まれている主な栄養素と、期待できる健康・美容効果は以下の通りです。
栄養成分 | 効果 |
---|---|
カリウム |
・むくみの改善 ・高血圧の予防 |
ビタミンC |
・皮膚や骨、血管などの健康維持 ・免疫力向上 ・鉄の吸収促進 ・老化防止 |
クエン酸 |
・疲労回復 ・血行改善 ・消化促進 ・老化防止 |
アントシアニン |
・目の機能改善・健康維持 ・老化防止 |
タンニン |
・老化防止 ・殺菌作用 ・腸内環境改善 |
エラグ酸 |
・老化防止 ・悪玉コレステロール・中性脂肪の低下 |
ウロリチン |
・老化防止 ・細胞の新陳代謝の活性化 ・DNAの修復 |
ウロリチンについては、以下で詳しく紹介します。
細胞の若返りを促すサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)は、「ウロリチン」という成分で活性化されることが分かっています。
「ウロリチン」とは、ザクロ由来の「エラグ酸」の腸内代謝物です。ザクロの実やジュースを体内に取り入れ、腸管に届くと、腸内細菌で分解され「ウロリチン」になります。
1日1杯のザクロジュースを飲むだけで、認知機能が回復したという論文もあるほどです。ザクロは日本だとあまり注目されていませんが、ヨーロッパでは老化の予防に効果が高い果物として論文が多く出ています。
実は、ザクロジュースを飲んでも効く人と効かない人がいるんです。
全体の50%くらいの方は、残念ながらザクロジュースを飲んでも効果がありません。
なぜなら、ザクロジュースを飲んでも腸管でエラグ酸から「ウロリチン」を作れない人がいるからです。自力で「ウロリチン」を作り出せない体質の方は、ザクロジュースを飲んでもサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化できないでしょう。
また、自力で「ウロリチン」を作れる方でも、作れる量に差があります。同じ量のザクロジュースを飲んでも、「ウロリチン」をたくさん作れる人と、少ししか作れない人がいるということです。
「ウロリチン」を取り入れるなら、サプリメントがおすすめです。
サプリメントであれば、自力で「ウロリチン」を作れない体質の方でも問題ありません。「ウロリチン」の状態で取り入れれば吸収できるので、誰でも効率よくサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)の活性化を促せます。
「ザクロジュースを飲んでも実感できない」「ザクロジュースの味が苦手」という方も、ぜひ「ウロリチン」のサプリメントを試してみてください。
サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化させる「ウロリチン」は、サプリメントで取り入れるのが効果的です。ご自身の体質に合った「ウロリチン」の取り方を見つけて、より効率よく細胞の若返りを促しましょう。
「ウロリチン」のサプリメントを購入したら、まずはその商品の推奨量を守って取り入れてみてください。
メーカーによりますが、「ウロリチン」の推奨量は1日当たり10mgくらいです。
ヒト試験では、1日当たり10mgの「ウロリチン」摂取を8週間続けると小じわや毛穴の改善、細かいシミの抑制が見られました。まずは1日当たり10mgずつ飲んでみて、体調や見た目の変化を見ながら増減することも検討しましょう。
サプリメントは医薬品ではないので、飲むタイミングに決まりはありません。
大切なのは、毎日忘れずに取り続けること。ご自身が忘れないタイミングなら朝でも夜でも良いので、とにかく毎日続けて取るようにしてみてください。
また、さまざまな時間帯に飲んでみて「調子が良いな」と感じるタイミングを見つけるのもおすすめです。朝飲んで調子が良くなれば朝、夜飲んで調子が良くなれば夜に続けてみましょう。
アンチエイジングに効果的な成分は、ザクロ由来の「ウロリチン」だけではありません。
ここでは、片倉教授の新しい研究で発見された「パラミロン」と、発毛に効果的なイチゴのポリフェノール「フィセチン」について紹介します。
新しい研究では、ユーグレナ由来の「パラミロン」という物質が注目を集めています。
「パラミロン」は、ユーグレナ(ミドリムシ)のみが作り出す多糖類の一種です。私たちが「パラミロン」を取り入れることで、疲労回復効果やストレス改善効果が期待できます。
この研究で面白いのは、いきなりヒト試験を行い、ヒトで結果が出ているということです。
メカニズムまではまだよく分かっていませんが、「パラミロン」を取り入れることでストレス改善による若返りが期待できると考えられます。
イチゴに含まれるポリフェノールの一種「フィセチン」は、サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化させる成分です。
さらに、「フィセチン」は育毛効果があることが分かっています。しかも毛が生えるだけでなく、毛を黒くする効果もあることが分かっているのです。
片倉教授の研究チームは、背中を脱毛したマウスに「フィセチン」の溶液を塗る実験を行いました。すると、もともと茶色い毛のマウスなのに、マウスの背中から真っ黒の毛がモッサモサに生えてきたそうです。
毛根にある「バルジ」という領域には、「毛を生やす幹細胞」と「毛を黒くする幹細胞」が同時に存在しています。「フィセチン」は両方の幹細胞に効果を発揮し、真っ黒の毛をモッサモサに生やしたのではないかと考えられます。
サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化させる「ウロリチン」は、ポリフェノールの一種です。
ポリフェノールにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる作用があります。赤ワインに含まれる「レスベラトロール」やイチゴに含まれる「フィセチン」など……どれもアンチエイジングに効果が期待できるので、積極的に取り入れたい成分です。
ただし、アンチエイジング食品の選び方にはポイントがあります。選び方によっては逆効果になってしまう場合もあるので、必ず選び方のポイントを抑えておきましょう。
ザクロジュースは、必ず100%かつ無糖のものを選ぶようにしてください。
砂糖が入ったザクロジュースは飲みやすいのですが、頻繁に飲んでいたら血糖値が上がってしまいます。サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化させる前に、糖尿病になってしまうかもしれません。
流行りの「ザクロ酢」も、飲みやすいように加糖されているものが多くあります。そもそもザクロが何%くらい含まれているかも分からないので、サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化させるためにザクロ酢を飲むのはおすすめできません。
100%ザクロジュース(無糖)は酸っぱくて、そのままでは飲みにくいです。
しかし100%ザクロジュース(無糖)なら、ほとんど甘くないので血糖値が上がりすぎる心配はありません。酸っぱくて飲みにくくても、できればそのまま飲むことをおすすめします。
また、日本産の100%ザクロジュース(無糖)はあまり売られていません。海外産でも良いので、100%(無糖)のザクロジュースを探してみてください。
若返りケアスイーツ!シェフ直伝「ザクロと色々ベリーのパンナコッタ」レシピ
健康のことを考えるなら、食品は安さよりも「品質」で選びましょう。
良質な食べ物を取り入れていくことで、健康で若々しい身体を保ちやすくなります。家計に無理のない範囲で、食品は「質が良いもの」「旬のもの」「新鮮なもの」を選ぶように心がけてみてください。
赤ワインに含まれるポリフェノール「レスベラトロール」は、アンチエイジングに効果的な成分です。
ただし、アンチエイジングに必要な量の「レスベラトロール」を赤ワインから摂ろうとすると、アルコールで肝臓が先に悪くなる可能性があります。いくらアンチエジングや健康に良いからといっても、赤ワインの飲み過ぎはNGです。
「レスベラトロール」は、ピーナッツやアーモンドの皮にも含まれます。赤ワインは飲みすぎないようにして、他の食品やサプリメントから「レスベラトロール」を取るようにしましょう。
「ウロリチン」は、細胞の若返りを促すサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)の活性化をサポートしてくれる成分です。
ザクロに含まれる「エラグ酸」の腸内代謝物なので、100%のザクロジュース(無糖)を毎日飲むとアンチエイジング効果が期待できます。ザクロには「ウロリチン」の他にも健康に良い成分が多く含まれるので、ぜひ積極的に取り入れてみてください。
ただし体質的に「ウロリチン」を作れない方も約半数いるので、効率を考えるならサプリメントを活用するのもおすすめです。日頃から「ウロリチン」や高ポリフェノールの食品、良質な旬の食材を取り入れて、細胞から若々しい状態を保ちましょう!