オンラインイベント

筋肉はどうして減るの?生命科学で考える筋肉のメカニズムを元五輪選手が解説

フェイスブック ツイッター ライン
 

ダイエットを頑張っているけど、効果が出にくいとお困りの方へ

       

年齢とともにお腹、太もも、ヒップなどによく見られる肌表面の「凸凹」。これは、血行やめぐりの滞りなどが原因でできる脂肪と老廃物の固まりです。

食事・運動のダイエットだけでなく、美容面でも凸凹ケアをしましょう!肌触りの凸凹が和らぎ、後ろ姿も好印象に!

サプリメントとボディジェルを使ったマッサージの2つのアプローチで、ハリのある若々しい身体を目指しませんか?

監修者

・シドニー五輪代表 ・元東京大学生涯スポーツ健康科学研究センター技術補佐員

柳澤 哲

選手引退後は、低体力・知的障害のトレーニングサポートと合わせて、日本陸連・JOC強化スタッフとしてトップアスリートもサポートした実績がある。
その経験を活かしてウォーキングトレーナーとしてパーソナル指導・講習会講師として活躍。
IAIR(国際統合リハビリテーション協会)と連携して理学療法士・作業療法士の皆さんに向けた「ウォーキング療法士」を監修し、変形膝関節症や片麻痺の方のウォーキングもサポートしている。五輪・世界陸上では競歩TV解説者も務める。

記事を見る→

あなたは、最近どのくらい運動をしていますか?また、運動不足を感じてはいますか?

フラコラアプリで運動不足についてアンケートを実施し、2,123名の方にご回答いただきました。すると、なんと83%の方が運動不足を感じているという驚きの結果になったのです。

そこで今回は、元オリンピック選手の柳澤哲さんに「生命科学で考える筋肉のメカニズム」について教えていただきました。筋肉が減少する原因や、筋肉を鍛えるためのおすすめエクササイズなども教えていただいたので、健康と理想的な体型を維持するために最後までチェックしてみてください!

この記事でわかること

どうして筋肉は減少するの?
運動不足だとどれくらいのペースで筋肉は落ちるの?
筋肉を鍛えるためのおすすめエクササイズ

筋肉が減少してしまう生命科学的な理由

筋肉は、加齢とともに減少していきます。

人間の生理的な成長のピークは、だいたい27〜30歳くらいです。それ以降は、どれだけ一生懸命トレーニングをしたとしても筋肉は減少傾向になります。

厳しいトレーニングを続けているトップアスリートでも、加齢によって筋肉減少にともなう体力の低下を感じてしまうのです。運動不足の方なら、余計に筋肉の減少は加速してしまうでしょう。

生命科学的に見ると筋肉は燃費が悪く邪魔なもの

生命科学の視点で考えると、筋肉は生命を維持するためには邪魔なものなんです。

私たち生物が生命を維持するためには、エネルギーを貯蔵しておかなければなりません。しかし筋肉は、何もしなくても多くのエネルギーを消費してしまいます。

例えば野生動物は一日中狩りをしていても、獲物を捕まえられない日もあります。しかし食糧がなくても生きていくために、エネルギーを蓄えておく必要があるわけです。

現代生活で「食べるものがない」という状況になることは少ないですが、もし食糧がなくなってしまったとき、筋肉が多いと早々にエネルギーが足りなくなってしまうでしょう。つまり筋肉量が多いと、生物は生命を維持するのが難しくなるということです。

つまり、生命維持を最重要視するなら燃費の悪い筋肉は邪魔なもの。そのため、使われない筋肉は「不要」と判断されてどんどん分解されてしまうのです。

生命を維持するためのエネルギーが「基礎代謝量」

ダイエットをしたことがある方なら、「基礎代謝量」という言葉を聞いたことがありますよね。

「基礎代謝量」とは、ヒトが生命を維持していくために必ず使われるエネルギーのこと。ですから運動をしなかったとしても、生命を維持するために使われていくエネルギー量が「基礎代謝量」ということです。

「基礎代謝量」が高ければ高いほど、たくさん食べても太りにくい身体といわれています。この「基礎代謝量」に大きく影響しているのが、エネルギー消費量の多い筋肉量です。

つまり、筋肉量が多ければ多いほど「基礎代謝量」が高くなります。「基礎代謝量」が高ければ太りにくくなりますが、逆に考えると、「基礎代謝量」が高ければ高いほど生命維持しにくい身体ともいえるでしょう。

脂肪は生命を維持するために必要なエネルギーの貯蔵庫

現代社会では悪者に思われがちな脂肪ですが、実は生命を維持するために必要な「エネルギーの貯蔵庫」の役割を果たしています。

よく「太りやすくて困る」という相談を受けますが、生命科学的な視点で見ると優れた身体なんです。低燃費でエネルギーを貯蔵できるわけですから、生命を維持する能力に長けているといえるでしょう。

ただし現代人の場合は食べるものが多いので、どうしても脂肪が増えすぎることで生活習慣病のリスクを高めてしまいます。美容面でもすっきりとした体型を目指したい方が多いので、脂肪は不要なものだと思われるかもしれません。

しかし脂肪は、生命を維持するために必要なもの。だからこそ脂肪は落ちにくく、逆に燃費の悪い筋肉は落ちやすいという構造になっているのです。

筋肉が落ちる要因は「加齢」と「活動量の低下」

「若い頃は太りにくくなったのに、30〜40歳を過ぎてから太りやすくなった」と感じていませんか?

年齢を重ねて太りやすくなる大きな要因は、筋肉量の減少です。そして筋肉量が減少する要因は「加齢」と「活動量の低下」が大きく関係しているといわれています。

子どものうちは体育の授業があるので、学校に行っていれば自然と筋肉を鍛えやすい環境がありました。20代くらいまでは子どもの頃の貯筋(ちょきん)がありますし、就職しても上司に頼まれてコピーしたり外回りをしたりと、まだまだ活動量が多い時期なのでなんとか体型を維持できるんです。

しかし30代になると加齢によって緩やかに筋肉量が衰え、さらにライフスタイルの変化によって活動量も低下する傾向にあります。管理職になって部下にお願いすることが増えたり、子どもが生まれて車で移動することが増えたり……意識的に筋肉を鍛えなければ、筋肉量は減少していく一方です。

筋肉量が減少すると「基礎代謝量」が少なくなるので、若い頃と同じエネルギーを摂れば太ってしまいます。これが「30〜40代になると太りやすくなる」現象の生命科学的なメカニズムです。

活動量が低下すると「廃用性筋萎縮」が起こる

どうして「活動量の低下」で筋肉が減ってしまうのかというと、身体の中で「廃用性筋萎縮」という現象が起きてしまうからです。

「廃用性筋萎縮」とは、使わなくなった筋肉を分解してしまうこと。

私たちの身体は、生命を維持するために無駄なエネルギーを使いたくないんです。食べるものがなくなったとしても生命を維持するために、脂肪を蓄えておく必要があります。

活動するなら活動するための筋肉が必要ですが、動かないなら筋肉は必要ありません。食べるものがないときに筋肉がエネルギーを無駄に消費し続けたら、エネルギーが枯渇して生命を維持できなくなるからです。

生命を維持するために、使わなくなった筋肉は分解して栄養に変えてしまうのが「廃用性筋萎縮」という現象です。

私たちの身体は、命をつないでいくことに大きなポイントを置いています。なんとしてでも寿命をまっとうするために、筋肉を分解して脂肪を蓄えたいのです。

運動しないのは筋肉を捨てているのと同じこと

運動しないということは、筋肉を捨てているのと同じこと。

たとえトップアスリートが一生懸命トレーニングをしていたとしても、加齢によって緩やかに筋肉の減少が起きています。それに加えて日常生活の中で身体を動かさないということは、今ある筋肉をどんどん捨てているということです。

現代社会で食べるものが長期的に不足して、生命を維持できなくなるような状況はあまり考えられません。むしろ食べすぎと運動不足によって生活習慣病のリスクが上がり、病気になって生命を維持できなくなるケースの方が多いですよね。

逆に筋肉量を増やし、基礎代謝量を上げて太りにくい身体にしておくと、生活習慣病のリスクを軽減できます。免疫力が上がったり、疲れにくい体になったり、筋肉量を維持するメリットもあるんです。

生命科学的な身体のメカニズムとは相反してしまいますが、現代社会で生命を維持するためには筋肉量を維持することが重要です。健康や美容のために、日常生活の中で活動量を増やすことを心がけましょう。

筋肉はどれくらいのペースで減るのか

「加齢」「活動量の低下」によって、実は驚きのスピードで筋肉量が減少してしまうことが分かっています。少し油断していると、どんどん筋肉が衰えてしまうかもしれません。

40〜50代は年間1%ずつ筋肉が減少していく

「加齢」の面から見ると、筋肉の成長ピークは27〜30歳くらいで、30代以降は緩やかに筋肉量は減っていきます。

そして40〜50代になると、年間に約1%も筋肉量が減少してしまうそうです。

よく「40歳になった途端に疲れやすくなった」と仰る方がいますが、これは大げさな表現ではありません。30代の筋肉減少は緩やかですが、40歳から年間1%の筋肉減少というのはかなり大きな変化なんです。

1日中寝て過ごすと0.5%の筋肉が減少する

「活動量の低下」の面から見ると、1日中寝て過ごすことで約0.5%ほど筋肉量が低下するといわれています。

つまり、2日間で40〜50代の1年分の筋肉量減少が起きているということ。たった1日寝て過ごしただけでも、半年分の筋肉量減少が起きているということです。

例えば数日間入院することになると、筋肉量の減少は加速します。筋肉量が減ると回復のスピードも遅くなるので、近年では手術が終わった翌日から病院内を歩くリハビリテーションを行うこともあるようです。

参考:個別指導による術前リハビリテーション|国立がん研究センター中央病院

「つかまらないと立てない」「階段が怖い」は筋肉量減少のサイン

日常生活の中で、筋肉量が減少しているかどうかチェックしてみましょう。

▼筋肉量が減少しているサイン

  • 立ち上がる・座るが疲れる
  • 歩くと疲れる
  • 階段が怖い(スムーズに降りられない)

立ち上がる・座るという動作は、太もも前の「大腿四頭筋」という筋肉を使います。「大腿四頭筋」は一番最初に落ちる筋肉といわれているので、何かにつかまらないと立ったり座ったりするのが難しい方は「大腿四頭筋」が衰え始めているかもしれません。

立ち上がる・座るが疲れる方は、歩くのも疲れやすくなるでしょう。

また「階段が怖い」という方も、筋肉量の減少が始まっています。とくに階段の下りが怖い、キツいと感じ始めたら、下半身のトレーニングを重点的に行ってみてください。

エビデンスから見る筋肉の重要性

筋肉の重要性については世界中で研究が進んでおり、多くのエビデンスが出ています。身体は生命を維持するために筋肉を捨てようとしますが、一方で生命を維持するために筋肉が必要であることも分かってきているのです。

筋肉を維持すると乳がんのリスクが減少する

2022年9月6日、ブリストル大学医学部が「身体活動レベルと乳がんのリスク」に関する調査結果を発表しました。(調査対象:ヨーロッパ系の女性13万957名)

このエビデンスによると、身体活動の全体的なレベルが高いほど、浸潤性乳がんのリスクが41%低下することが分かったそうです。

週3日以上の活発な身体活動をしている女性は、あまり身体を動かしていない女性に比べて乳がんのリスクが37%低下していました。

逆に、座ったまま過ごす時間が長い女性は、トリプルネガティブ乳がんのリスクが104%高くなったというデータが出ています。トリプルネガティブ乳がんとは、乳がんの治療標的となる三つの受容体が欠如しており、予後不良(治療の見通しが悪い)といわれている乳がんのことです。

つまり「身体活動レベル(筋肉量)と乳がん」は、非常に密接な関係があると考えられます。運動不足がどれほど健康にリスクをもたらすか、とても分かりやすく示してくれるデータです。

参考:Boosting physical activity/curbing sitting time highly likely to lower breast cancer risk

筋肉から分泌されるホルモンが健康にメリットをもたらす

筋肉から分泌される「マイオカイン」という物質は、私たちの健康にさまざまなメリットをもたらします。

▼マイオカインによる影響

  • 疲れやすさの改善
  • うつや不安の抑制
  • がんの予防
  • 骨密度の改善 など

「運動がなぜ健康にいいのか」という研究は日々進められており、その中で筋肉から分泌されるホルモン「マイオカイン」が影響していることが分かってきました。筋肉をつけることで、心や身体の調子を安定させる効果が科学的に証明されているのです。

筋肉を鍛えるためのおすすめエクササイズ

筋肉を維持するためには、継続的にエクササイズを行うことが大切です。ご自身の体調やライフスタイルと相談しながら、無理のない範囲でできるエクササイズに取り組んでみましょう!

筋肉を増やすなら「スクワット」がおすすめ

筋肉を増やすためにおすすめのエクササイズは「スクワット」です。

筋肉を増やすためには「スクワット」のような無酸素運動、いわゆる筋トレ系のトレーニングが必要になります。有酸素運動だけでは脂肪と一緒に筋肉も減少してしまうことがあるため、筋肉を増やす運動として「スクワット」を取り入れてみましょう。

体力に自信がない方は、ゆっくり行う「スロトレスクワット」がおすすめです。スロトレスクワットのやり方については、以下の記事をチェックしてみてください。

運動苦手でもOK!下半身を鍛える無酸素運動「スロトレ」で体温を上げよう

階段は日常生活の中のエクササイズマシン!

階段は「エクササイズマシン」だと思って、積極的に取り入れましょう!

階段を上るときのポイントは、かかとまでしっかり乗せてあげること。かかとを乗せるとお尻や太もも裏の筋肉を使いやすくなるので、階段を使うだけでヒップアップ効果が期待できます。

上るときに少し前かがみになると、さらにお尻と太もも裏の筋肉が使いやすくなるので試してみてください。

女性はヒールのある靴を履くことが多く、つま先だけで階段を上ってしまいがちです。しかしつま先だけで上るとふくらはぎばかり鍛えられてしまい、太ももやお尻が鍛えられないので、できるだけ安定したシューズでかかとまで乗せながら上ってみてください。

ウォーキングで抗重力筋・体幹を鍛えよう

ウォーキングは有酸素運動ですが、歩くときは重力に逆らうので「抗重力筋」が使われています。

「抗重力筋」は大腿四頭筋や腹筋、背筋といった筋肉のこと。姿勢を正して歩くと「抗重力筋」を鍛えやすくなるので、ウォーキングするときは姿勢にも気をつけてみてください。

ひざの痛みを感じる方は、足を大きく踏み出さないように歩くのがポイントです。さらに、なるべくひざを伸ばすようなイメージで歩くことで、ひざへの衝撃を軽減できます。

転びやすかったり、バランスの悪さを感じる方は、体幹の筋肉が少ないかもしれません。体幹を鍛えるには、しっかりお腹を凹ませて「ドローイン」をしながらウォーキングするのがおすすめです。「ドローイン」をしているとき、くれぐれも呼吸が止まらないようにご注意ください!

筋肉は動かないと減少する!しっかり鍛えて健康を保とう

生命科学の視点から考えると、生命の維持のために燃費の悪い筋肉は邪魔者です。

しかし食べるものに溢れている現代社会では、むしろ運動不足の方が健康に悪影響をもたらします。筋肉量が減少することでさまざまな病気のリスクが上がり、結果として生命の維持ができなくなってしまうのです。

身体は筋肉をどんどん分解しようとするので、運動不足の方は筋肉を捨てているようなもの。日常生活の中でできるだけ身体を動かして筋肉量を保ち、健康や理想的な体型を維持していきましょう!

この記事でわかったこと

筋肉はエネルギー消費量が多く燃費が悪いので、生命維持には邪魔なもの
40〜50代は年間約1%ずつ筋肉減少、1日中寝て過ごすと約0.5%の筋肉減少
筋肉を鍛えるために最もおすすめなエクササイズは「スクワット」

最終更新日:2023.03.24

ダイエットを頑張っているけど、効果が出にくいとお困りの方へ

年齢とともにお腹、太もも、ヒップなどによく見られる肌表面の「凸凹」。これは、血行やめぐりの滞りなどが原因でできる脂肪と老廃物の固まりです。

食事・運動のダイエットだけでなく、美容面でも凸凹ケアをしましょう!肌触りの凸凹が和らぎ、後ろ姿も好印象に!

サプリメントとボディジェルを使ったマッサージの2つのアプローチで、ハリのある若々しい身体を目指しませんか?

関連記事
新着記事