ウォーキングを行った後は、ストレッチをして下半身をケアすることが大切です。
しっかりクーリングダウンすることで疲労回復を手助けし、同時にリラクゼーション効果も期待できます。
今回は、元オリンピック選手の柳澤哲さんに「ウォーキング後ストレッチ」のやり方を教えていただきました。足に疲れがたまる原因や、ストレッチ以外のセルフケアも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
足に疲れがたまる原因は、筋肉疲労から来る血行不良です。
血液は心臓から送り出され、全身を巡って心臓に戻ります。心臓はポンプの役割を持ちますが、心臓から遠い場所にある足の血液を心臓のポンプ機能だけでうまく循環させることはできません。
ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれ、下半身の血液を押し上げる働きを持ちます。しかし、歩き過ぎや長時間の立ち仕事などで筋肉に疲労がたまって凝り固まると、ふくらはぎのポンプ機能が正常に働かなくなってしまいます。その結果、血行が悪化して老廃物が蓄積し、足が重だるく感じたり、痛みを感じたりしてしまうのです。
足の疲れの原因は、蓄積した乳酸といわれる説もあります。乳酸は、筋肉を動かす際のエネルギー源となるグリコーゲンや糖が分解されてできる物質です。この乳酸が疲労物質で足の疲れを作り出すと考えられてきましたが、近年、日常生活で疲れを感じるほど乳酸が蓄積することはないといわれるようになりました。
また激しい運動をした場合も、疲れの原因は乳酸ではなく、乳酸が作られる際に生じる水素イオンなどが、筋肉を酸性に傾かせることが原因だと考えられています。
たくさん歩いた後は、疲労をためないようにストレッチをする時間を作りましょう。
両ひざを立てて座り、足は腰幅より少し広めに開きます。その体勢で両ひざを左右に細かく振り、ふくらはぎともも裏をほぐしましょう。
立てている両ひざを左右に倒し、股関節周りをゆるめていきます。このとき、片方のお尻が高く浮かないように気を付けながら行うことがポイントです。
立てている両ひざを同じ方向に倒し、ひざを90度に曲げて卍のような形を作ります。大きく息を吸って、吐きながら内ももが上を向いている方の足に向かって体を倒しましょう。
お尻や太ももの外側が伸びるのを意識しながら、20秒程度ストレッチしていきます。反対側も同じように行い、終わったらゆっくり体を起こしましょう。
足首を立てているひざの上に乗せて、両手は体の後ろに付きます。そのまま胸を足に近づけ、お尻が伸びるのを意識しながら20秒程度キープします。
しっかりストレッチできたら、反対側も同じように行いましょう。
足をこぶし1つ分くらいに開き、両ひざを軽く立てます。ひざの下で両手を組み、胸を張ったまま上半身を前の方に倒しましょう。
かかとに体重を乗せるようにすると、お尻の伸びがよく感じられます。お尻のストレッチを意識しながら、20秒程度キープしてください。
仰向けになって片足を伸ばし、もう片方のひざと足首を持って胸の方に引き寄せます。このとき、ひざを少しだけ外側に向けることがポイントです。
息を吐きながらストレッチし、もも裏が伸びてくるのを意識してください。20秒程度キープしたら、反対側も同じように行います。
両ひざを伸ばして座り、足は軽く閉じます。両腕を伸ばし、つま先を触るように上体を前に倒しましょう。
このとき、背中が丸まらないように気を付けながら上体を倒すことがポイントです。大きく息を吐きながら20秒程度キープし、ゆっくりと体を起こします。
長座の状態から片ひざを曲げ、ひざの裏側に両手を添えて背中を地面に着けます。仰向けの状態でひざを胸に近づけ、片手でつま先を持って自分の方に引っぱりましょう。
顔の方につま先を向けるようにして引っぱり、もも裏がしっかり伸びてくるのを感じてください。20秒程度ストレッチしたら、反対側も同じように行います。
片ひざを立ててしゃがみ、折りたたんでいる方の足は甲を地面に着けます。立てているひざに両手を添え、上から押さえましょう。
このとき、かかとが高く浮かないように気を付けてください。ふくらはぎが伸びているのを意識しながら20秒程度ストレッチし、反対側も同じように行います。
両手・両足を地面に着け、両ひざを伸ばします。この体勢で下半身全体が伸びているのを意識しながら、呼吸を止めずに20秒程度伸ばしましょう。
足の裏を合わせて座り、ひざを上下に揺すって股関節をほぐします。血流がよくなった筋肉全体をほぐすイメージで、股関節周りをしっかりゆるめましょう。
ストレッチは足の疲労回復に効果的ですが、ストレッチ以外にも足の疲労を解消する方法はあります。これからご紹介する方法をストレッチと組み合わせて、効率良く足の疲れを解消しましょう。
足の疲労を解消するためには、就寝時に足を心臓よりも高く上げるようにしましょう。
前述した通り、足の疲労は血行不良によって足に老廃物が蓄積してしまうことが原因です。足を心臓よりも高くして寝れば、血行やリンパの流れが改善され、老廃物の排出が促進されるため、足の重だるさや痛みが解消しやすくなります。
足の下にクッションや毛布を置くと、無理なく足を高い位置にできます。足専用のフットピローを使うのもおすすめです。
ただし足を高く上げ過ぎると、逆に疲れを感じてしまうことがあるので、適度な高さに調整しましょう。
足を温めて血行を促進することも、足の疲労の解消に効果的です。
血行が悪いと血管が収縮するため、足が冷えやすくなります。血行を改善するには、血管を広げる必要があるので、お風呂にゆっくり漬かったり保温効果のある靴下やレッグウォーマーを使ったりして、足を温めましょう。お風呂に漬かる時間がない場合は、足湯でも構いません。
ただし炎症が起こっている場合や鋭い痛みがある場合は、足を温めると逆効果になることがあります。何らかの症状が出ている場合は、まず医師に相談しましょう。
足の疲労を解消するためには、水分を多く取るようにしましょう。
足にたまった老廃物を排出するには、血液の巡りを良くすることが大切です。しかし血液がドロドロの状態では巡りが悪くなるので、老廃物がどんどん蓄積してしまいます。しっかり水を飲んで血流を促進し、老廃物の排出を促しましょう。
むくみが出ていると、「水を飲まない方が良い」と考える方もいるかもしれません。しかし体が水分不足になると、水をため込もうとしてさらに過剰な水分が蓄積するため、むくみが悪化してしまいやすいです。むくみが出ているときこそ、水分をしっかり取りましょう。
ただし一度に大量の水を飲むのはおすすめできません。1日1.5〜2L程度の常温の水を小まめに摂取することが大切です。
足の疲労回復のためには、入浴後にマッサージを行うのもおすすめです。
マッサージは血行促進に効果的なケアの一つです。特に血行が良くなっている入浴後にマッサージを行うと、滞っている老廃物の排出を促しやすくなります。
足裏やふくらはぎ、太もも、足の付け根をマッサージして、血行を促進しましょう。リンパが滞りやすい膝裏のマッサージもおすすめです。
ストレッチを行う場合も、入浴後に行うのがおすすめです。
体が温まっている入浴後にストレッチを行えば、効果的に血行を改善できます。前述したストレッチ方法を参考にして、しっかり下半身をほぐしましょう。
ウォーキングは「たかが歩くだけ」と思われがちですが、軽い散歩でも下半身の疲労はたまります。疲労をそのままにしておくと体のだるさや翌日のつらい筋肉痛につながる可能性も。
そのためウォーキング後はしっかりストレッチして、下半身をクーリングダウンしてあげることが大切です。
長く歩いたときや下半身の疲れを感じるときは、ぜひウォーキング後ストレッチを試してみてくださいね。