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・株式会社マインドフルヘルス 代表取締役 ・内科医、産業医 ・神経内科専門医 ・抗加齢医学専門医 ・人間ドック健診専門医、指導医 ・医学博士
山下 あきこ
内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年に川崎医科大学を卒業し、同大学の総合診療部での研修を経て、福岡大学病院の脳神経内科に入局。
米国フロリダのメイヨークリニックにて先端脳研究に携わり、パーキンソン病の研究で「MDS Young Scientist Award」(国際運動障害学会の優秀若手研究者向け賞)を受賞。
日本に戻り一般の臨床内科医として活動したのち、健康を自分で作る社会を目指して病院を退職し、株式会社マインドフルヘルスを設立。
「セブンアプローチ」を提供し、病気を治すのではなく、より健康で幸せに暮らせる社会を目指して活動。健康セミナーやビジネスセミナーなどを行い、行動変容を促す方法と正しい知識を提供している。企業研修の実績は、九州電力、NTT東日本、日清食品ホールディングス、JRサービスサポートその他多数。
目次
「甘いものを我慢できない!」「甘いものを食べないとイライラする」など……甘いものがどうしてもやめられなくて困っているのではないでしょうか?
実は、甘いものがやめられないのは糖質と脳のメカニズムが関係しています。ご自身の意思が弱いからではなく、甘いものには依存してしまう原因があるんです。
そこで今回は、脳神経内科専門医・医学博士である山下あきこ先生に「甘いものが欲しくなるメカニズム」「甘いものを上手にコントロールする方法」について教えていただきました。メカニズムを知ることでストレスなく甘いもの依存から抜け出せるので、ぜひ最後までチェックしてみてください!
どうして甘いものがやめられないのか?
甘いもの依存から抜け出すメリット
甘いものが食べたい気持ちをコントロールする方法
甘いものがやめられなくなってしまうのは、甘いものが依存性の物質だからです。
お酒や煙草と同じように、甘いものに依存する脳のメカニズムが解明されています。まずは甘いものがやめられなくなる原因を知り、依存から抜け出すモチベーションを高めましょう。
甘いものを食べると、脳に「ドーパミン」というホルモンが多く分泌されます。
「ドーパミン」は、元気が出たりやる気が出たり、快活な気持ちが得られるホルモンです。別名「探求ホルモン」「やる気ホルモン」とも呼ばれています。
しかし「ドーパミン」で得られる効果は長く続きません。
甘いものを食べることで「ドーパミン」が分泌されて元気になっても、その幸福感や快楽は一瞬で終わってしまうんです。すると脳はまた快楽を得たくなり、「ドーパミン」を分泌させるために甘いものを欲するようになります。
「甘いものを食べてほっとする」「すぐにイライラして、また甘いものを食べる」など……一瞬の快楽を繰り返していると、次第に「甘いものがないとイライラする」という状態に陥ってしまいます。これはお酒や煙草、SNSやギャンブルに依存するのと同じようなメカニズムです。
甘いものを食べると血糖値が急上昇すると、血糖値を下げるホルモン「インスリン」が分泌されます。
「インスリン」が血糖値を急下降させると、また血糖値を上げるために甘いものが欲しくなってしまうのです。「ドーパミン」の低下も同時に起こっているので、低血糖状態も相まって余計にイライラが増大してしまいます。
血糖値の乱高下による糖質依存は、甘いものだけではありません。白米やパン、麺類やスナック菓子などの糖質でも同様に依存することがあるため、甘いもの以外の糖質の摂りすぎにも注意が必要です。
実は、世界中で糖尿病の人口が増加しています。
2000年に1.5億人だった糖尿病人口は、2030年までに5.7億人になるといわれているのです。日本人の健康診断の結果を見ても、20〜30代の若い世代で高血糖の方が増えています。
糖尿病の原因は、ほとんどが食べすぎです。
もちろん食事だけが糖尿病の原因というわけではありませんが、やはり多くの方は食べすぎによって糖尿病になっています。甘いものがやめられなかったり、主食を食べすぎてしまったりする方は、糖尿病の予備軍になっているかもしれません。
健康診断で「血糖値が高い」という診断を受けた方は、糖尿病に進行しないように注意してください。
糖尿病というと、砂糖の摂りすぎだと考える方も多いのではないでしょうか?
実は、日本人の砂糖の消費量や輸入量は年々減少しています。一方で、「加糖調整品」という甘味料の輸入量は増加しているのです。
▼加糖調整品とは
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「加糖調整品」は、砂糖と同じ容量で200〜600倍もの甘さを持っているといわれています。その輸入量が増加しているということは、日本人は計り知れないほどの甘いものを摂取している可能性があるということです。
ご自宅にある加工品や調味料、ジュースなどの原材料表示をチェックしてみてください。今まで何気なく使っていたものにも「加糖調整品」が多く含まれているはずです。
ここで、甘いもの依存度をチェックしてみましょう。
これが多く当てはまったからと言って「依存症です」という診断ではありません。気軽な気持ちで、いくつ当てはまっているものがあるか数えてみてください。
▼甘いものへの依存度チェック
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1個目の「食べていると至福を感じる」だけであれば、糖質に依存している可能性は低いでしょう。
しかし2個目以降もチェックが入っていたら、糖質に依存している可能性があると考えてください。甘いものがやめられなかったり、心が不安定になったりしてしまうのは、糖質依存によるものかもしれません。
甘いものへの依存を改善すると、さまざまなメリットがあります。ここでは、大きく分けて4つのメリットを見ていきましょう。
糖質の摂取量が減ると、体重が自然と減っていきます。
体重が少なければいいというわけではありませんが、体重が増えすぎて困っている方には嬉しいメリットです。甘いもの依存で太ってしまった方は、甘いものから離れることで簡単に体重を減らせるでしょう。
糖質を控えることで、心が安定しやすくなります。
糖質を摂りすぎると、心の安定ビタミンといわれている「ビタミンB群」が消費されてしまうのです。さらに「ドーパミン」の分泌や、血糖値の乱高下によってイライラしやすくなるため、心が不安定になります。
甘いものに依存しない脳や身体の状態が作り出されると、不安定になる原因が1つ外れることになりますね。心のバランスを取り戻したい方にも、糖質依存の改善はとても効果的な方法といえるでしょう。
甘いものへの依存が改善されると、睡眠の質が向上しやすくなります。
寝付きがよくない方や、夜中にちょこちょこ目が覚めてしまう方は、夜のおやつだけでもやめるような取り組みをしてみてください。夜間の血糖値が落ち着くことで睡眠が安定するので、ぐっすり眠れるようになるかもしれません。
糖質の摂りすぎをやめると、肌の調子もよくなります。
アメリカで「糖質をたくさん食べている人の肌」と「糖質を食べない人の肌」を比較した有名な研究があります。その結果「糖質を食べない人の肌」の方が状態が良いということが分かったのです。
糖質を摂りすぎると、肌のベタつきの原因になります。また、吹き出ものが出やすくなったり、肌のうるおいが失われたりすることもあるようです。
あなたが「甘いものが無償に食べたい!」と感じるのは、どのようなときでしょうか?
ご自身の心と身体の状態に向き合うことで、甘いものが食べたい気持ちを上手にコントロールできるようになります。無理に我慢しようとせずに、まずは甘いものが食べたくなる「きっかけ」を見つけるところから始めましょう。
「どんなときに甘いものが食べたくなるのか」については、研究によって明らかにされています。
▼甘いものが食べたくなる瞬間
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甘いものが食べたくなる4つの瞬間のうち、3つは心理的な側面からきている食欲です。
私たちの脳は、ストレスを感じると何か快楽を求めてしまう仕組みになっています。そのため、イライラしたり不安になったりすると、ストレスを打ち消すために快楽を得ようとしてしまうのです。
つまり、心理的な側面から甘いものを食べたくなったときは、別のストレス解消法を試してみるのが効果的と考えられます。散歩や音楽鑑賞、読書など……食べること以外で、ご自身の寂しさや怒りを鎮める方法を見つけてみてください。
甘いもの依存から抜け出したいからといって、無理に我慢するのは逆効果。
「食べちゃダメだ」と自分を縛り付けると、ストレスから余計に食べたくなってしまうんです。「今日から一生おやつを食べない」「お菓子を買わない」と極端な制限をつけると、かえって我慢できなくなってしまいます。
甘いもの依存から抜け出すためには、ストレスの少ない方法で食欲をコントロールすることが大切です。糖質が少ないおやつを選んだり、血糖値が上がりにくい食材を選んだりしながら、無理なく糖質を減らせるように工夫しましょう。
「ながら食べ」は満足感を得にくく、つい食べすぎてしまうので注意が必要です。
例えば「今から楽しみだったドラマを見るぞ」「みんなで映画を見るぞ」というシチュエーションでは、より楽しむためにお菓子を用意することもありますよね。楽しむこと自体は全く悪いことではないのですが、ドラマや映画を見ながら食べていると、味わうことなくいつの間にか空になるまで食べてしまっているものです。
食べるときは食べることに集中し、しっかり味わって食べることで満足感を得やすくなります。「今自分はどれくらい食べているのだろうか」と食べている量にも気付くことで、食べ過ぎ防止にもつながるでしょう。
友達や家族とおしゃべりしているとき、目の前に「どうぞ」とおやつをたくさん出されたら、ついつい手が伸びてしまうもの。
おしゃべりしながら無意識に食べているとき、「今何個食べたか」「どれくらいカロリーを摂ったか」と考えないですよね。気付いたら、いつの間にかおやつを食べ尽くしているかもしれません。
また、仕事中「疲れた」と感じるときに甘いものを食べたくなる方も多いのではないでしょうか?常にデスクの引き出しにチョコレートが入っていて、疲れると無意識にチョコレートを食べることもあるでしょう。
このように、私たちが無意識にパクパクと口に入れているカロリーは平均200kcalくらいあるそうです。200kcalというと、ご飯茶碗1杯くらいのカロリーをいつのまにか摂取していることになります。
もしご自身が無意識に食べていることに気付けば、そんなに食べなくても「今お腹いっぱいだから」とストップできるかもしれません。無意識に食べてしまう環境にある方は、余計な糖質やカロリーを摂っていることに気付きましょう。
甘いものを食べる「きっかけ」や「習慣」に気付きましょう。
▼甘いものを食べるのはどんなとき?
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甘いものを食べる「きっかけ」や「習慣」に気付くと、食べたい気持ちをコントロールしやすくなります。「今はお腹が空いているわけじゃない」「イライラしているだけで栄養が必要なわけじゃない」と気付けば、自然と甘いものを食べなくても気持ちが収まるはずです。
さらに、甘いものを食べたあとの心や身体の変化にも気付きを深めてみてください。
▼甘いものを食べすぎたあとの心身の変化
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心身の変化にも気付けるようになると「食べたら後悔するからやめよう」「体調が悪くなるからやめよう」など、自然と甘いものを避けられるようになります。「これくらいなら食べても大丈夫」という見極める力もつくと、甘いもの依存からは抜け出しやすくなるでしょう。
甘いものがやめられないのは、あなたの意思が弱いからではなく、糖質が依存性の物質だからです。
脳や身体の構造上、甘いものがやめられなくなるのは仕方のないこと。無理に制限や我慢するのではなく、食べたい気持ちをうまくコントロールする力を身につけましょう。
甘いもの依存から抜け出すことで体重が減ったり、心が安定したり……さまざまなメリットがあります。睡眠の質が上がって肌の調子もよくなるので、美容面でも嬉しい効果が期待できるのです。
まずは、ご自身が甘いものを食べたくなる「きっかけ」や「習慣」に気付くところから始めてみてください。そして甘いものが食べたくなったら「これを食べたら本当に幸せになれるだろうか?」「身体は心地よくなるだろうか?」と問いかけ、いつも心と身体が幸福になる方を選択していきましょう。
糖質は依存性の物質なので、繰り返し食べていると不足したときにイライラしてしまう
糖質を減らすことで体重減少や心の安定、睡眠の質向上や肌ツヤの改善につながる
まずは甘いものを食べる「きっかけ」や食べたあとの心身の変化に気付くことからはじめよう
ダイエットを頑張っているけど、効果が出にくいとお困りの方へ
年齢とともにお腹、太もも、ヒップなどによく見られる肌表面の「凸凹」。これは、血行やめぐりの滞りなどが原因でできる脂肪と老廃物の固まりです。
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