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「更年期」と聞くと、ホットフラッシュや気分の落ち込みなどをイメージする方も多いのではないでしょうか? しかし実際はそれだけでなく、更年期症状には髪の変化もあります。
若年層の髪の⽑はハリとコシのある健康的な状態ですが、更年期には、薄⽑や抜け⽑、パサ付きなど髪に悩まされる⼥性が増加します。
そこで今回は、髪に対する更年期のサインや髪の毛と女性ホルモンの関係について詳しく解説します。
更年期も健やかで美しい髪を保つために、更年期に髪の悩みが増える原因を知り、ホルモン変化についても理解を深めていきましょう!
年齢を重ね、更年期に入ると「エストロゲン」という女性ホルモンの分泌量が急激に減少し、ホルモンバランスの変化から、心身にさまざまな影響が出てきます。
更年期症状はのぼせや発汗、不安感やイライラなどだけでなく、髪への影響もあります。例えば、分け目が目立つようになる、髪が細くなり頭頂部がぺたんこになるなどの変化を感じる方も少なくありません。
更年期における髪のサインには、以下のようなものが挙げられます。
▼更年期における主な髪のサイン
これらのサインは個人差があるので、全てが必ず起こるわけではありません。更年期からは心身の健康管理だけでなく、髪の健康にも注意を向けていきましょう。
女性ホルモンと髪には、密接な関わりがあります。
女性ホルモンの役割は髪を艶やかにしたり、髪の毛の太さを守ったりすることの他、髪を強くしなやかに保つことも挙げられます。
しかし、女性ホルモンは35歳頃から徐々に減少し、45歳頃からは急低下していくため、エストロゲン低下の影響が髪に出てきてしまうのです。
女性ホルモンは髪を健康に保つために大切な働きをしていますが、更年期を迎えると女性ホルモンのバランスが乱れ髪質も変化します。髪内部の水分量や油分量も変化するため、触ったときの感触も変わってきます。
毛髪にはヘアサイクルと呼ばれる毛周期があります。
ヘアサイクルは髪の毛の寿命のようなものです。髪の毛一本一本には寿命があり、成長すると抜けて新しい髪が生えてくる、というサイクルを繰り返しています。
毛周期には以下のようなサイクルがあります。
▼毛周期のサイクル
女性ホルモンは、私たちのヘアサイクルの成長期の期間を長くさせ、髪が成長する状態をキープしてくれる働きがあります。そのため、退行期・休止期という髪が、成長しなかったり抜けたりする状態を抑制してくれます。
つまり、女性ホルモンは脱毛しにくい状態を維持してくれるということです。
女性ホルモンが減ることで、成長期が短くなり、退行期・休止期が増えます。それにより、抜け毛が増えたり、髪の毛の本数が減ったり、髪の毛自体が細くなるのです。
髪の健康には、女性ホルモンだけでなく、血流を良い状態にすることが大切です。
例えば、日頃からデスクワークが多く運動習慣がない状態が続くと、血流が滞りやすくなります。
血液の働きは、酸素を運ぶだけではありません。私たちの身体に栄養を運ぶという非常に重要な役割もあります。
そのため、血流が滞れば髪にも栄養が運ばれにくくなり、健やかな髪が生まれにくくなってしまいます。それにより、細毛やハリ・コシ不足など、さまざまな変化があらわれるようになります。
女性ホルモンの分泌量自体を急激に増やすことはできませんが、血流を促すことで髪を健康に導くことは可能です。
ではどうして女性ホルモンの分泌が乱れてしまうのでしょうか。4つの原因をご紹介します。
女性ホルモンのバランスを乱す代表的な原因は、加齢や更年期です。
女性ホルモンの分泌は20代中盤から30代前半にピークを迎え、その後年齢を重ねるとともに少しずつ減少してしまいます。そのため、年齢を重ねて抜け毛や薄毛に悩む方は少なくありません。
特に閉経前後の10年間ほどを指す更年期は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が急激に減るタイミングです。女性ホルモンは髪の健康にも関わっているので、髪の毛に影響を及ぼしてしまいます。
また閉経を迎えるとエストロゲンやもう一つの女性ホルモンである「プロゲステロン」は、ほとんど分泌されなくなります。その結果、髪の毛の成長に影響を与える男性ホルモンの働きが優位になるため、閉経後はさらに薄毛や抜け毛が起こりやすくなってしまうでしょう。
出産も女性ホルモンのバランスが乱れる原因の一つです。
妊娠すると、エストロゲンやプロゲステロンの分泌が活発になり、妊娠前よりも増加します。そのため、妊娠中は抜け毛が起こりにくいです。
しかし出産すると、増加していたエストロゲンやプロゲステロンの分泌が一気に減少するので、毛周期のサイクルが乱れてしまって、抜け毛が起きやすくなります。これがいわゆる「産後抜け毛」です。
また産後は育児によって生活リズムが大きく変わるため、睡眠不足になる方やご自身のケアに時間を使えなくなる方も少なくありません。育児のプレッシャーから、精神的にストレスを感じる方も多いです。加えて妊娠前の体型に戻そうと無理なダイエットをすると、栄養不足に陥り、髪の毛の成長に必要な栄養を確保できなくなってしまいます。
ホルモンバランスの急激な変化に加え、産後には抜け毛や薄毛が起こる条件がそろってしまいやすいです。急に抜け毛が増えると不安に感じてしまうかもしれませんが、過度に不安を感じると、それがストレスになってさらなる抜け毛を誘発してしまうかもしれません。
産後抜け毛はホルモンバランスの変化に主な原因があることを理解しておくことで、不安を軽減できるでしょう。
栄養が偏った食生活も、女性ホルモンのバランスを乱す原因です。
慢性的な栄養不足は、エストロゲンの分泌を低下させてしまいます。過度な食事制限を伴う無理なダイエットをすると、抜け毛や薄毛になってしまいやすいです。外食が多い方や野菜不足の方なども栄養不足に陥りやすいので、注意しなければなりません。
また栄養不足は免疫力やストレス耐性を維持する「副腎皮質ホルモン」や、体温調節に関わる「甲状腺ホルモン」の分泌も低下させてしまいます。副腎皮質ホルモンの分泌が低下すると不安を感じやすくなるため、精神的に負担がかかって抜け毛が起きやすくなるでしょう。
加えて甲状腺ホルモンが低下すると基礎代謝が落ち、痩せにくくなってしまうので、さらに無理なダイエットをして極度の栄養不足になる可能性もあります。体温調節にも影響が出るため、更年期にも多く見られるホットフラッシュや冷えなどの症状が悪化してしまうかもしれません。
健康の基本は栄養バランスの取れた食事です。髪の毛のためにも身体のためにも、バランスの取れた食事を心掛けましょう。
質の良い睡眠が取れていないことも、女性ホルモンのバランスを乱す原因になります。
就寝中は女性ホルモンが活発に分泌される時間帯ですが、どの程度分泌されるかは眠りの質によって変わってくるといわれています。そのため、質の良い睡眠が取れていなければ、女性ホルモンの分泌が減ってしまい、ホルモンバランスが乱れてしまうでしょう。また睡眠の質が悪いと、髪の毛の成長に欠かせない成長ホルモンの分泌も低下してしまうので、さらに抜け毛や薄毛が起こりやすくなってしまいます。
ホルモンバランスを整えるには、睡眠時間を確保するだけでなく、熟睡感が得られるように睡眠の質を向上させる必要があります。睡眠の質を向上させるには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
頭皮の血流を良くするために、最も簡単な方法は全身の血流を良くすることです。頭皮も体の一部なので、適度なウォーキングや軽いジョギングといった有酸素運動をすれば、髪の健康にもつながります。
運動するのが難しい場合は深呼吸やストレッチなど、気軽にできる血流を良くするケアから始めると良いでしょう。体がリラックスすることでストレスを解消することにもつながります。
血流を促したり、頭皮環境を整えたりすることで、髪の不調を予防していきましょう。
健やかな髪について考えることは、全身の体の健康にもつながります。
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女性なら誰もが通る更年期には、女性ホルモンの急低下から、さまざまな髪の悩みが起こりやすくなります。
症状に個人差はありますが、全体的なボリュームが減ったり、チリチリした髪が増えてきたりするなど……。しかし、血流対策など適切なセルフケアを行えば、髪の健康維持にもつながりますし、不調も軽減され、より快適に過ごせるようになります。
髪の毛が細くなるなどのサインを感じたら、頭皮ケアや、身体を動かして血流を促すなど早めの対策を心掛けてみましょう。髪のケアは、心や体の不調の改善にもつながります。