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ニキビが悪化したまま放置してしまうと、ニキビ跡が残ることがあります。ニキビ跡ができると必要以上に肌を気にしてしまい、気分も落ち込んでしまいます。また誤ったニキビケアは悪化の原因となる可能性もあります。
そこで、ニキビ跡を残さないために、まずニキビやニキビ跡ができる原因を知り、正しいケアを行うことが重要です。ここでは、ニキビ跡の特徴や種類、原因、そのケア方法について詳しく説明していきます。
ニキビ跡ができるのは、ニキビによって炎症が起こり、表皮の下にある真皮や皮下組織までダメージを受けてしまうことが原因です。
ニキビができると、毛穴や周辺で炎症が起こります。初期段階のニキビであれば、表皮の炎症だけで治まるため、真皮より下の組織はダメージを受けません。しかしニキビが重症化すると、真皮や皮下組織まで炎症がおよび、組織が損傷してしまいます。
表皮に炎症による赤みや色素沈着が残った場合、ターンオーバーによって肌が生まれ変わるので、時間の経過とともに赤みや色素沈着は目立たなくなっていきます。しかし真皮ではターンオーバーが行われないため、一度ダメージを受けて凹んでしまうと、自然に元の状態に戻ることはなく、ニキビ跡として残ってしまうのです。
ニキビ跡とは、ニキビが治った後でも赤みや色素沈着、クレーター(凹み)などが残っている状態のことです。
人間の肌は表面に近い組織から表皮、真皮、皮下組織に分かれています。肌のバリア機能が低下した状態で炎症が続くと、細菌がみるみるうちに繁殖し、真皮層や皮下組織にまで修復が難しいダメージを与えてしまうことがあり、こうなるとニキビ跡になってしまいます。そのため、できてしまったニキビのケアを十分に行わず、放置しているとニキビ跡になる可能性が高くなるのです。
ただし、一括りにニキビ跡といってもいくつか種類があるので、まずはそれぞれの特徴や原因について詳しくご説明します。
赤みのあるニキビ跡ができる原因の一つは、炎症もしくは皮膚下の血管などが見えていることです。そもそもニキビは毛穴に老廃物や皮脂が詰まり、肌が炎症を起こすことでできますが、この炎症が続いてしまうとニキビが治った後も肌に赤みが残ってしまうことがあります。
また赤く見えるのでニキビが治っていないかもしれないと思われる方も多いかもしれませんが、ニキビが治ってから半年以上経っているのであれば、ダメージによって皮膚が薄くなり、血管や筋肉が透けて見えていることで赤みがより目立っていることが考えられます。
赤みはないものの、シミのような茶色いニキビ跡が残ることがあります。このニキビ跡の原因はずばりメラニンです。炎症によってシミの元となるメラノサイトが刺激され、メラニンが生成されることでニキビの赤みが茶色くなり、そのまま色素沈着することでニキビ跡ができます。
健康な肌では一定のサイクルで肌が生まれ変わる「ターンオーバー」がスムーズに行われています。しかし、ニキビができてしまった肌はターンオーバーが乱れて古い角質が残り、メラニンも分解・排除されないままになるため、色素が沈着してニキビ跡になってしまうのです。
ニキビを放置したり、ニキビを触りすぎて潰してしまったりすると、肌の表面がぼこぼこと陥没してしまうケース(クレーター)もあります。ニキビの炎症がひどくなると、白血球による炎症を抑制しようとする働きによって皮膚の真皮層も破壊されていき、ターンオーバーができない真皮層ではその後肌が完全には修復されず、クレーター状になってしまいます。
しこりのニキビ跡ができるのは、炎症でダメージを受けた皮膚が修復される際に、コラーゲンが過剰生成されることが原因です。炎症によるダメージから肌を素早く回復させようとコラーゲンが過剰に作られると、コラーゲンの塊が皮下にできてしまって、しこりになります。
ケロイドのニキビ跡とは、ニキビ跡がミミズ腫れのように赤く盛り上がった状態のことです。ニキビがかなり重症化した場合に、ケロイドのニキビ跡が残ることがあり、かゆみや痛みを伴うことがあります。
ケロイドになる原因ははっきりとは解明されていませんが、体質による影響が大きいと考えられています。炎症が起きている際に過度に触ったりニキビを潰したりすると悪化しやすいです。
ニキビは症状によって「白ニキビ」「黒ニキビ」「赤ニキビ」「黄ニキビ」の4種類があります。それぞれどのようなニキビなのか、ニキビ跡になる可能性はあるのかなどを見ていきましょう。
白ニキビはニキビの中でも初期の状態で、毛穴の奥に皮脂がたまり、肌を押し上げることでできる白くポツポツとしたニキビのことをいいます。白ニキビにはかゆみや痛みはありませんが、症状が悪化すると治りにくくなってしまうため、ニキビ跡を予防するためにも、白ニキビの段階で治せることが望ましいです。
白ニキビが悪化して毛穴が詰まり、奥にたまった皮脂が毛穴の開きによって空気に触れ、酸化することで黒く見えています。ただし、黒ニキビは炎症がまだ起こっていないので、症状としては初期に分類されます。そのため、黒ニキビになってしまった場合はニキビ跡を予防する意味でも、それ以上症状が進行しないよう注意しなければなりません。
赤ニキビはアクネ菌によって炎症が起こってしまったニキビです。アクネ菌は正常な肌にもいるものですが、空気に触れない密閉された空間では、一気に増殖するという性質があります。
皮脂がたまってしまった毛穴は、たとえ毛穴が開いても皮脂が詰まっているので空気に触れにくくなっており、アクネ菌をはじめとする細菌の温床になってしまいます。さらに、毛穴にたまってしまった皮脂がどんどん腐ることで遊離脂肪酸という物質に変化し、増殖したアクネ菌と結びつくことで、炎症の元となる物質ができ、赤ニキビになってしまうのです。
赤ニキビは比較的ニキビ跡が残りやすいため、悪化させないように早めにケアを行いましょう。
赤ニキビの炎症がさらに悪化すると黄ニキビができます。黄ニキビとは、炎症が化膿して表面がぷっくりと盛り上がり、膿がたまっているのがわかる状態です。
炎症によって毛包壁と呼ばれる毛穴の壁が破壊されると、さらに周囲に炎症が広がります。このように強い炎症が長引いてしまうと、ニキビ自体が治ってもニキビ跡が残ってしまうことがあります。
ニキビ跡は一度できてしまうと自然には治癒しません。特にクレーターの場合は皮膚科でレーザー治療が必要になることもあります。しかし、日頃のセルフケアで改善できる場合もあるので、方法を見ていきましょう。
赤みや色素沈着のあるニキビ跡には、ビタミンCでスキンケアをすることがおすすめです。ビタミンCにはメラニンの生成を抑制し、メラニン色素による色素沈着を薄くしてくれる働きやターンオーバーを正常化する効果が期待できます。
適度な運動によってターンオーバーが促進されるといわれています。さらに、汗をかくことで肌の水分が増し、毛穴にたまった皮脂や老廃物を排出してくれたり、角質を柔らかくしてくれたりすることも期待できます。
また、不規則な生活リズムやストレス、睡眠不足や紫外線などもターンオーバーの乱れにつながるため、十分な睡眠をとり、ストレスをできるだけためない生活を送りましょう。
肌を良い状態に保つためには、内側からのケアも欠かせないため、一日3食のバランスの良い食事を心がけましょう。ニキビに良い栄養素としては、ビタミンが豊富な緑黄色野菜、皮脂の分泌を抑えるビタミンB2・B6、コラーゲンを生成し、メラニン色素を薄くしてくれるビタミンCなどが挙げられる他、脂肪分の摂取も控えるようにしましょう。
ここからは、ニキビ跡の種類ごとのケア方法やおすすめの成分について詳しくご紹介していきます。
赤みがあるニキビ跡に対しては、原因の一つである真皮層の炎症を抑えるケアが必要です。そこで、アラントインやグリチルリチン酸ジカリウムなどで抗炎症ケアをするのがおすすめです。
色素沈着の原因であるメラニンには美白効果が期待できる成分が効果的です。美白効果が認められている成分としては、ビタミンC(誘導体)、プラセンタ、ハイドロキノンなどがあります。また過度なクレンジングやマッサージで肌を必要以上にこすってしまうと、色素沈着の悪化につながる可能性があるため避けましょう。
クレーターができてしまった場合、肌のターンオーバーを整えることを意識しましょう。クレーターができているということは真皮層がダメージを受けているため、改善が難しいですが、継続的にケアを行えば解消できる可能性もあります。
まずは正しい洗顔を行い、食生活を整え、適度な運動と睡眠をしっかりとること、そしてストレスをためないことが重要です。またビタミンB群、特に魚や卵、乳製品によく含まれるビタミンB2は肌のターンオーバーを助ける役割があるとされています。場合によってはインナーケアを取り入れるのも良いでしょう。その他、コラーゲン、コエンザイムQ10、ビタミンC誘導体など、肌にハリを与えるような成分を取り入れると良いでしょう。
最後に、ニキビやニキビ跡を未然に防ぐために大切なポイントを詳しくご紹介します。
ニキビやニキビ跡予防のためには、正しい洗顔と保湿が欠かせません。洗顔をするときは強くこすらず、肌への負担を減らしましょう。またタオルに菌が繁殖する可能性があるので、顔を拭くたび毎回変えるなどして清潔な状態を保つことも大切です。
さらに、乾燥や刺激から肌を守るためにも洗顔後の保湿を忘れてはいけません。保湿が不十分だと、皮脂が過剰に分泌される原因にもなるため、化粧水やクリームなどでしっかり保湿を行いましょう。
ニキビがある状態で過剰に紫外線を浴びてしまうと炎症が悪化し、さらにメラニンが生成されることで色素沈着の原因となります。そのため、日頃から日焼け止めなどの使用を心がけましょう。もし日焼けなどで炎症が起こってしまった場合は、早めに冷やし、抗炎症成分でケアするのがおすすめです。
ニキビ跡にはビタミンB群やビタミンCを食事で積極的に摂取するのがおすすめです。魚や卵、乳製品などによく含まれるビタミンB2、赤身の魚などによく含まれるビタミンB6には皮脂の分泌を制御してくれる役割が期待できます。また、緑黄色野菜やフルーツによく含まれるビタミンCはメラニン色素の生成を抑える他、抗酸化作用やターンオーバーの促進、肌の老化防止などの効果も期待できるといわれています。
ファンデーションを厚塗りしてしまうとニキビに刺激を与えるだけでなく、毛穴が詰まってアクネ菌が増殖し、ニキビの原因となることがあります。またクレンジングを念入りに行う必要もあり、肌に過剰な刺激を与えてしまったり、完全に落ちきらなかったファンデーションが毛穴に残ったままになったりする可能性もあるため注意が必要です。
ニキビを刺激すると炎症が悪化する可能性があるため、低刺激性やオイルフリーのスキンケア用品を使うのがおすすめです。
またニキビが生じにくい製品であるかを確かめる「ノンコメドジェニックテスト」という試験があります。そのテストに合格したアイテムであれば使用してもニキビになりにくいといわれています。
「ニキビを潰して膿を出した方が治りが早い」と耳にすることもありますが、皮膚科のきちんと消毒された専用器具以外でニキビを潰すと周辺の皮膚に傷を付け、さらにニキビが悪化し、ニキビ跡が残ってしまう危険性があります。
またニキビを潰すことで新しい細菌がそこから侵入し、新たなニキビが発生したり、炎症を起こしたりする可能性もあります。そのため、ニキビを潰すのはやめましょう。ニキビが潰れてしまった場合は手で触らず、洗顔やスキンケアをして清潔にすることを心掛けてください。
ニキビ跡は自然治癒が難しいため、日頃のニキビケアでニキビやニキビ跡を未然に防ぐことが大切です。
ニキビは毛穴の詰まり、皮脂の過剰分泌、アクネ菌の異常増殖が原因といわれています。肌にはバリア機能やターンオーバー機能が備わっているので、通常であれば皮脂などがきちんと排出されますが、生活習慣の乱れなどによってうまく機能しなくなる場合があります。
そのため、不適切なスキンケアや食生活の乱れ、寝不足、ストレス、運動不足などニキビやニキビ跡の原因となることはできるだけ避け、できてしまったニキビ跡に対しても正しいケアを行ってください。